16日の新聞で報道していただきました。
安倍首相ら自民党幹部が、河井夫妻を通じて行った大規模買収事件(公職選挙法違反)の捜査・裁判が進んでいます。
そんな中、広島市はコロナを理由に一般市民の式典参加は認めず、一方で、安倍首相・河井夫妻に対しても、そして金銭を受けとった県会議員・市会議員にも、式典の招待状を送ったことが判明しています。7月15日、私たちは法律違反の議員を招待しないよう、広島市(松井市長)に申し入れました。
代理で対応した職員とのやりとりで、広島市(松井市長)は、河井夫妻の疑惑の内容については重々承知の上で、「あえて例年通り招待した」ということでした。コロナを理由に「席数9割削減」「会場周辺の立ち入り規制」など、去年までの慣例に踏まえない、異例づくめの式典を行うことを判断した広島市(松井市長)が、「あえて例年通り、広島県選出の国会議員(河井夫妻)は招待する」と判断・決定したことを認めました。
なぜ一般市民は式典会場に入ることさえ許されず、選挙違反の議員は招かれるのでしょうか? 法律違反を居直る議員を平和記念式典という公的行事に招き、それを誰も咎めない構図を全国・海外に発信して、かれらの「禊(みそぎ)」の場にし、安倍首相や河井夫妻らを免罪しようというのでしょうか!? 私たちはそのような松井市長を市民の代表として認めることはできません。
広島市長 松井一實様
2020年7月15日
被爆75周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
事務局長 宮原亮
広島市中区幟町14−3−705
電話・FAX 082−221−7631
メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com
申し入れ書
1)1億5000万円の買収資金を提供した安倍首相、応じた河井夫妻、河井から賄賂を受け取った全ての県会議員・市会議員への8・6平和記念式典への招待状を撤回すること。
2)正義がなければ平和はない。このことを肝に命じていただきたい!
3)広島自民党救済のための、安倍資金による旧陸軍被服支廠保存に応じるべきではない。
理由
1)1億5000万円の買収資金を提供した安倍首相、応じた河井夫妻、河井から賄賂を受け取った全ての県会議員・市会議員への8・6平和記念式典への招待状を撤回すること。
広島市役所のホームページを見て驚いた。招待者一覧表に特別来賓として国会議員と県会議員、主催者として市会議員の名前が挙げられている。担当課に聞けば、安倍首相をはじめ、河井夫妻、広島市会議員など、河井選挙疑獄の渦中の人物にも招待状を出したと言うではないか! 一体松井市長は何を考えているのか。
振り返ると、松井市長はパンデミックに便乗して「今年の平和式典は目的を慰霊に絞る」とし、大幅な縮小と目的変更を宣言した。そのやり方も独裁者そのもので、我々8・6ヒロシマ大行動実行委員会が「平和式典のあり方を市民に問うべきだ」と何度も誠意を持って要請しているのを、これまでのやり方で十分だと居直った上でのことだ。最近の記者会見では式典の目的を「平和と慰霊」に修正したようだが、世間を愚弄するような式典開催を勝手に決めていることに変わりはない。
問いたい。一般市民を排除し選挙違反の議員を多数式典に参加させておいて、あなたのいう慰霊は果たせるのか? 無慈悲な死を強制された被爆者は、選挙違反を居直って辞職もしない輩が平和公園の土を踏むのを「慰みだ」と喜んでくれると、本気で思っているのか?
はっきり言ってこれは平和式典に名を借りた「みそぎ」だ。平和式典という公式行事に、何事もなかったように選挙違反の議員が参加し、誰もそれを咎めない構図を全国に発信して、安倍や河井夫妻らをを免罪しようというものだ。
2)正義がなければ平和はない、このことを肝に命じて頂きたい!
現在、ジョージ・フロイトさんを白人警官が殺害したことに対する全米のみならず、全世界で抗議の闘いが燃え上がっている。1964年に公民権法が成立しながらも、新自由主義の中でますますアメリカ社会で差別が強化され公然のものとなっていることを衝撃的に教えたのが、Covid19の被害の実態だった。黒人は人として見られていない。黒人を差別し踏みつけにして、アメリカ社会の繁栄が続いてきたということだ。それ故に、故キング牧師の有名な言葉が胸を衝く。
「真の平和とは、単に緊張がないだけではなく、そこに正義が存在することである。
True peace is not merely the absence of tension: it is the presence of justice.」
平和を語っても正義がなければ、その平和なるものは虚構だ、という真理だ。同じことは、「核廃絶」についても言える。否、むしろこうした金銭汚職の議員を平然と松井独裁市政の基盤にし、平和式典に参列させて罪を問わないやり口こそ、松井市長の核廃絶が空疎なものであことと一体なのだ。空疎というのは安倍に恐れをなして平和宣言で「核兵器禁止条約署名と批准」を迫らないことだ。何が国際平和都市だ! 何が平和首長会議の代表だ! これでは、真実を知った世界中から軽蔑されてしまう。
河井夫妻の金銭買収に応じるということは不正義そのものだ。民主主義の根幹を破壊するからだ。司法取引が行われたことも明白で、広島市の汚職議員13人は全て居直り、あるいはだんまりを通そうとしている。検察は広島の自民党体制が崩壊することを危惧していると報道されている。自民党を支持基盤とする松井市長も同様な考えなのか? 自らが汚職議員を断罪する気迫もないのか?
それとも、汚職議員も平和式典に参加すれば慰霊の念から改心するとでも思っているのか? かつて松井市長の秘書室長は、「安倍首相はヒットラーと同じ人物だ、決して式典に招待してはならない」という我々の主張に次のように答えた。「ヒットラーだからこそ来てもらい、広島の被爆の実相を感じてもらえば、変わってもらえる(!)」。だが、現実は真逆だった。安倍首相は広島訪問をするたびに戦争屋としての本質を露わにしている。その点で重大なのは、河井案里の選挙公約だ。それは安倍と共に「日本を変える」というものだ。夫、河井克行の同志として日本を戦争できる独裁国家に変える。安倍の指揮下、非常事態条項導入と自衛隊明記の改憲に突入し、異議を挟まさない。そのためには同じ自民党の溝手であっても切り捨てる。それは、戦争に向けた全国民総動員体制構築に向けて、戦前の内務省支配下と同様に地方の住民から自治を奪わずにはおかない。河井から金を貰った市会と県会の議員たちはそういう河井夫妻の企みに、与する意思表示をしたということだ。口で「核は絶対悪」と言おうとも、核兵器使用の最大の国家間戦争に向け、着々と準備する安倍に抗議しない松井平和行政はペテンだ。そのことを平和式典への金権汚職選挙議員の招待は証明している。
実際、松井市長が戦争と改憲に突入する安倍政権批判を圧殺しようと画策した「8・6拡声器規制条例」に賛成討論をした木戸市議は金を受け取っていた。拡声器規制条例を提唱した宮崎議員はその木戸議員を庇って、辞職を求めるのではなく「議員自らが説明する問題だ」と断罪すらしない。戦争で田舎町から大都市に飛躍した広島に色濃く残る軍都根性に便乗しているのが、あなた、松井市長だ。平和宣言を発する資格が問われている。
3)広島自民党救済のための、安倍資金による旧陸軍被服廠保存に応じるべきではない。
最後に触れておきたい。広島・山口県出身の自民党国会議員らが、8月6日の平和式典に出席する安倍首相を旧陸軍被服支廠を視察させようとしている。侵略戦争と被爆の象徴である建物を見て、安倍首相が「二度と戦争をしてはならない」と決意するであろうか? 否である。安倍首相は「こんなに立派な軍事施設だったのか。今度は負けないようにしっかり軍備を整えよう」と軍都=廣島を肯定し、憲法改悪と日本の核武装へのキャンペーンをさらに強めるだろう。軍都=廣島に目をつむるとはその証だ。広島をアメリカの核攻撃から生じた被害の側面だけから注目するあり方を国策として一層推進しようとするだろう。結論は、敵基地攻撃能力の保持発言にも見られるように、日本の途切れない防衛の要としての日本独自の核武装の扇動となる。被爆者家族として、絶対に許すことはできない。
私たちは、6月28日に被爆建物の保存運動を進めてきた石丸紀興先生を招いて、旧陸軍被服廠の見学と被爆建物について考える機会を持った。石丸先生は講演の最後を次の言葉で締めくくられた。
「世界からも平和と反核を求めて集まる人たちが自由に議論しあえる場として陸軍被服廠は保存されるべきだ」
「保存に際して補強のために30億円以上の金額が言われるが、震度7とか8の地震が来て、住民の家は崩壊しても、陸軍被服廠や原爆ドームさえ残れば良いという話ではないはずだ。もっと何のために残すかを議論することが大事。安易に政治利用を狙う安倍さんに便乗するのではなく、広島が方針を決め、それに政府が乗るかどうかを問うべきだ」
はっきり言おう。安倍首相も松井市長も平和と反核のための自由な討論の場として被爆建物を残すのではなく、国民・市民に沈黙を強いて日本を再び戦争する国にするという彼らの野望を押し付ける場にしようとしているのは明白だ。安倍首相の視察で保存費用を国から引き出し、河井両国会議員の公選法違反、巨額の金のバラマキでボロボロになっている広島県の自民党の威信を取り戻そうという魂胆もミエミエだ。
そうは行くはずもない。そもそも、河井案里に買収資金1億5000万円を支給した張本人こそ安倍首相であり、広島の怒りは生半可ではない。広島だけでなく、全国紙で「安倍のための河井金権選挙」について多くの怒りが投書欄などで表明されている。
私たち8・6ヒロシマ大行動は、ヒロシマ、全国、何よりも被爆者家族とともにあらゆる反動をはねかえして行動し、全世界の労働者・民衆にヒロシマからのアピールを発する決意である。
以上
その後、山田春男・広島市議会議長に、同様の申し入れを行いました。とくに河井夫妻から金銭を渡されたとされる13人の市議には、式典出席を自粛するよう議長として促してほしい、と伝えました。