2021年4月27日火曜日

4月26日 政策立案検討会議・若林代表に申し入れ

 

 私たちは4月26日、広島市平和推進条例(仮称)検討会議に対する申し入れを行いました。同条例案には類例のない規模(市民や団体から計1043項目)のパブリックコメントが集まり、条文によっては賛否が二分しているにも関わらず、これまで3回の話し合いで同会議は種々の市民意見をことごとく退け、あくまでも素案を押し通すという議事運営を行ってきました。3回目(4月15日に開催)の議場では、こういったあり方に業を煮やした碓井法明議員(広島創生クラブ、東区)が「辞任」を表明され退席するという事態に発展しています。

 私たちはこの日の申し入れで、議運方法を見なおすこと、そして「辞任」を表明された碓井議員を「欠席」扱いにして議事を進めないよう、代表の若林新三議員(市民連合、安佐北区)に申し入れました。

 5月6日までに文書で回答していただきます。





2021年4月26日

広島市議会議長 山田春男様
広島市議会政策立案検討会議代表 若林新三様
      同      委員 各位


被爆76周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮
広島市中区幟町14-3-705
電話・fax 082-221-7631
メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com


申入書


 広島市平和推進条例(仮称)の行く末に関心を持つ者として、政策検討会議を傍聴し、強い憤りを感じています。以下その理由を述べ、今後の対応方針について再考を求めます。


(1)市民及び平和団体から計1043項目ものパブリックコメントが出たにもかかわらず、4月15日までの検討会議で全て却下されている状況は、あまりに異常です。

 この日、委員の一人である碓井議員が検討会議のあり方を批判し「辞任」を宣言されたわけですが、その引き金になった「原爆を投下したのはアメリカだと記述すべきかどうか」を巡る議論も、余りに被爆者の気持ちから離れた議論であり、被爆者である碓井議員には耐えられなかったのではないでしょうか。日本被団協が1984年に策定した「原爆被害者の基本要求」では、アメリカ政府に対して「広島・長崎への原爆投下が人道に反し、国際法に違反することを認め、被爆者に謝罪すること」と訴え、原爆被害を含めたすべての戦争被害に「受忍」を強いる日本政府に対しては、「戦争遂行責任の明確化」「補償」をはっきりと訴えてきたのが被爆者です。被爆者の気持ちに寄り添わないで語られる「ヒロシマの平和」「ヒロシマの心」はまがい物です。こんなものを「次世代に継承する」として策定される条例制定を「認められない」と抗議されるのは当然です。
 貴検討会議が、市民及び平和団体の意見を「聞く」と言いながら、その討議の方向をどんどんずらしてゆく原因は次の2点にあると考えられます。

 1点目は、「素案は全員が合意して作っており、修正や削除をする場合は全員の合意が必要だ」(4月16日付中国新聞より、若林代表)という勝手な方針です。この方針は市民の了解を得ていません。得ていないどころか、あらかじめパブリックコメントで出された意見を単に「聞き置く」とするための方便だと言っても差し支えありません。
 「ヒロシマの平和」「ヒロシマの心」を歴史的に作ってきたのが被爆者・市民であることに鑑みれば、貴検討会議に求められているのは単に所属会派を代表するという立場を越えて、パブリックコメントで表明された意見を精緻に議論し、「訂正すべきはする」という謙虚な姿勢のはずです。そして重要なのは、意見が割れている箇所ほど、素案そのものに問題点や脆弱さがあることを自覚することです。にもかかわらず意見を受けて、検討会議が自ら修正したり、話し合いを通じて見解の違いを止揚したりすることができないのであれば、もはや条例制定の資格なしとしか言い様がありません。
 2点目は、これほどの意見を受けたにもかかわらず、平和団体や有識者など第三者を入れて素案を修正する場を設けていないということです。素案を作ったメンバーが「この意見は正しくない」という判断を下す評価方法で、どうして生産的なものが生まれるでしょうか。それほど検討会議のメンバーは、8・6ヒロシマの歴史や課題に精通しているのでしょうか。広島市平和推進条例と名付けるほどのものを作るなら、歴史的な批判に耐えうるものでなければならないし、現在の委員だけでは役不足であることは明白です。ヒロシマ研究者など専門家及び平和団体の検討と議論に一旦は預ける謙虚さが必要ではないですか。


(2)広島市平和推進条例の制定にあたっては、平和憲法の破壊(空洞化)を許さない決意が前提にされなければなりません。
  先日、広島県原爆被害者団体協議会がこの条例案について出した意見に、次のようにあります。「私たち被爆者は先の大戦において、『お国のため』などとして全体意識の中で異論を口にできず戦時下の日々を送って、原爆の被害を受け、敗戦を迎えたことを反省とともに強く記憶にとどめています」。これは直接には、「平和式典の厳粛」に関する意見ではあるが、それ自体が極めて重要な意味を持っています。
 平和憲法は前文に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」とありますが、それは日常不断に戦争への道を断つことを国民に要請しています。それはわけても天皇制国家による侵略戦争の結果、原爆投下という地獄の犠牲を強いられたヒロシマの被爆者の決意でもあります。つまり、平和憲法を破壊しようとするものに「平和」の推進を語る資格はないということです。
 しかし本条例素案には、そのことが一切明記されていません。兵庫県宝塚市の核兵器廃絶平和推進基本条例では「平和憲法の精神にのっとり」と憲法の順守が明記されているのに、なぜ貴検討会議はそれを入れないのでしょうか。それどころか、15日の検討会議である委員は「私は憲法9条の2項を削除したいと思っている」などと平然と口にし、大変驚愕しました。条例で憲法を否定しようなどという、よこしまな意図をもった者で進められる検討会議の姿勢そのものが問題なのです。


(3)辞任を表明した碓井議員について、ご本人の意向に反して「欠席」などと処遇することは論外です。ご本人が言われるように「政策立案検討会議に参加する唯一の被爆者」の声を抹殺してはなりません。意向通り辞表として受理し、そもそも「政策立案検討会議」が成立の根拠を持つのか、それとも碓井議員の主張するように「こんなくだらない委員会は何にもならない」ものとして解散すべきなのか、市民に改めて問うべきではありませんか。


 以上3点について、2021年5月6日までに文書での真摯な回答を求めます。

以上

2021年4月8日木曜日

NAZENヒロシマ編集・発行/「黒い雨」訴訟に関するブックレット読みました!

 当実行委員会の構成団体の一つでもある、すべての原発今すぐなくそう(NAZEN)ヒロシマ編集・発行のブックレット「広島原爆による内部被曝―—『黒い雨』訴訟から学ぶ」を早速読ませていただきました。
 昨年7月の「黒い雨」訴訟広島地裁判決の画期的意義と、大瀧慈博士・鎌田七男博士(いずれも広島大学名誉教授)による広島被爆研究に関する最新の科学的・医学的知見とを、初心者向けにまとめたブックレットです。
 「今後、反戦反核運動に携わる者の必読の書に」という編集側の熱意が伝わってきます。関心のある方はhiroshimanazen0311@gmail.comまでお問い合わせください。


以下NAZENヒロシマブログ(ここから)より転載。
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『広島原爆による内部被曝ー「黒い雨」訴訟から学ぶ』

昨年12月13日に開催した「『黒い雨』訴訟における“科学的知見”をめぐって」の講演会、皆さんへの報告が遅くなり申し訳ありません。
講演してくださった、大瀧慈さん、質疑・討論には参加者として、鎌田七男さんはじめ、黒い雨被曝の当事者の方、被爆者の方、たくさんの方々が、熱意のこもった、意見を出してくださり、討論する事ができました。
この内容は是非、当日の参加者を越え、全国の皆さん、とりわけ福島はじめ、被曝とたたかう皆さんと共有すべきとかんがえ、
報告集をブックレットという形で、出版するはこびとなりました。
ぜひ、皆さんに、そして周りの方に広めていただけたらと考えています。