2020年12月14日月曜日

12/13 大瀧慈氏講演会 ~「黒い雨」訴訟における”科学的知見”をめぐって~を開催



※NAZENヒロシマからの報告を紹介します。

 NAZENヒロシマが12月13日、講演会「『黒い雨』訴訟における“科学的知見”をめぐって」を開催しました。講師は、降雨範囲が国の援護対象地域の約6倍の広さであると指摘し、「黒い雨」訴訟原告側証人として一審勝訴に導いた大瀧慈氏(広島大学名誉教授・統計学、理学博士)です。被爆者、遺族、研究者、マスコミを含む約60名が駆けつけました。
 講演で大瀧氏は、原爆投下時の気象状況やキノコ雲の高さの分析などから、放射性微粒子が遠方にまで拡散したと説明。放射線障害とみられる疾病の発症状況は爆心からの距離だけに依存しておらず、直接被曝だけでは説明がつかない、と内部被曝の影響を示唆しました。さらに、国の原爆線量評価基準(DS86、DS02)は相当程度小さく見積もられており、広島、長崎の研究者が内部被曝の影響を隠蔽してきたことで、今のICRP体制があるのだと、はっきり糾弾しました。
 質疑応答では、実際に黒い雨に被爆した被爆者からの意見や質問が出されました。さらに厚労省「黒い雨」援護地域検証検討会委員で広大原医研元所長の鎌田七男さんが「内部被曝は50年経ってからでも影響が出るのだから、今からでも調べるべき。国は(比較のために)癌患者等のデータを公開すべき」と述べるなど、活発な意見交換がされました。
 おもねることなく科学に真摯な態度を貫こうとする科学者に深く共感するとともに、私たちもそれを支え、「黒い雨」訴訟に全面勝利し、内部被曝の影響や不安と闘う人たちと共に、“科学的知見”を大衆の手に取り戻すために行動する使命を感じる会になりました。