2020年12月25日金曜日

12月24日 市民活動推進課と話し合いを行いました。

 私たちは12月24日、広島市(市民活動推進課)と拡声器の音量および平和行政の在り方にかんして、話し合いを行いました。今後も引き続き、協議していくつもりです。


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話し合いたいこと(市民活動推進課に提出したレジュメ)

20201224


1)            前回(1023日)の話し合いの再確認

私たちは86日の拡声器使用に際し、次のような努力を行いました。

    環境局環境保全課に騒音計をかりて、3月中旬に平和公園周辺で拡声器の実証実験を行う。

    324日、市民活動推進課との話し合いの場で「10m先/85㏈以内に収まるよう努力する」として合意。

    85日、先の実験にもとづいて、翌日のデモで使用する拡声器ごとに音量つまみを固定し、マイクを持つ人に関しては、発声の際の声量調整および、口とマイクの距離の調整方法など講習を実施。

    86日当日朝、デモ前に原爆ドーム前で騒音計を用いて測定し、デモ中も測定。

 

 しかし、当日市が委託した業者による測定結果によると、85㏈を越える地点があったということでした。その結果については大変残念です。やってみてわかったのは、どんなに事前に調整してもその時々の風向きや、マイクを持つ人の声量によって、実際に10m先に達する音量に違いが出るということです。よって今回の結果は許容誤差の範囲と考えていますが、引き続き来年に向けて努力する所存です。

 

2)            前回の話し合いを踏まえて、市民活動推進課から今年の式典中の拡声器の音量に関する調査の情報提供をしていただき、私たちも内容を確認しました。それらの結果について、市は式典中の拡声器の音量(その規制の是非)について、今現在どのような見解をお持ちか、教えて下さい。

924日の中国新聞では、「デモ音量『影響ない』56%」「割合倍増 団体配慮か」との見出しの下、以下のように紹介しています。

我々のハンドマイクから出る音の受け止めについて

「式典への影響はない」としたのは56.1%で昨年より28.7㌽増えた。「悪影響がある」としたのは43.9%で15.0㌽減。昨年は10.8%が「わからない」としたが、今年はゼロだった。

音量への対応について

「関係者に対する要請や話し合いを続けるべきだ」が46.3%で3.6㌽上がった。「規制する措置を講ずるべきだ」は22.2%で10.5㌽減った。「何もする必要はない」は22.2%で10.6㌽増えた。

1回目(201812月実施)、2回目(201986日)のアンケートと比較しても、市民の条例規制を求める割合は69%→33%→22%と減少しています。今、市民の世論として式典中の条例制定を求める状況にないと言えるでしょう。

また、今年合意した「10m先/85㏈以内」が正当な数値かについても、大いに議論の余地があります。そもそもデモ隊と式典会場は最も接近したところで200300m離れており、拡声器の音量を多少変更したからといって、届く音にどの程度の違いがあるのかはなはだ疑問です。

しかし、来年の平和式典まで半年以上あり、私たちが来年どういうふうにデモを実施するかについては、現段階では白紙です。引き続き市と協議し、両者の納得できる合意点を設定することに、鋭意努力いたします。そして合意点に到達した際は、その確実な実施について今年以上の努力をしたいと思っています。

 

3)            86日の平和式典のあり方は、平素からの松井市長の平和行政の在り方に規定されているという観点から、前回から引き続き3点質問します。

    広島市が「黒い雨」訴訟に対し、控訴した理由を今一度説明してください。地裁判決の一体何が不服なのでしょうか? 厚労省からの「法定受託事務」であったとしても地方自治体の事務であり、基本的には自主的に処理できるのに、なぜ市は自主的に国の意向に従ったのでしょうか? 

広島の高校生・酒見知花さん(盈進高2年)が、「本気なのか 『黒い雨』控訴に思う」という作文で、控訴した松井市長に率直かつ痛烈な批判を述べています。こうした若者の声に松井市長は真摯に向き合い、対応を改めるべきではないではないでしょうか。

    核兵器禁止条約について

広島市として日本政府の署名・批准および、締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を引き続き強く求めてください。

    広島市平和の推進に関する条例(仮称)について

松井市長は914日、拡声器規制条例の制定を求める「静かな86日を求める広島市民の会」という団体の申入れを受け取った際に、「拡声器の規制について、今後は、平和推進条例の方で対応してもらう」と答えましたが、一体どういうことなのでしょうか? 前回も申入れたことですが、松井市長はわれわれと直接会って話をしてください。 

 

以上



(12月25日 中国新聞)


12月24日 「黒い雨」訴訟 控訴取り下げの申入れ

  私たちは、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう全国会議)ヒロシマの仲間と一緒に、12月24日広島市役所を訪問。松井市長(原爆被害対策部援護課)に対して、ただちに「黒い雨」訴訟の控訴を取り下げるよう、また国の設置した検討会の結果を待たず、被爆者援護法にもとづいて「黒い雨」被爆者の全員に速やかに被爆者健康手帳を交付するよう求めました。

(NHK広島のニュースで報道されました)

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広島市長 松井一實様

 

申し入れ書

 

20201224

被爆75周年86ヒロシマ大行動実行委員会

事務局長宮原亮

広島市中区幟町14-3-705

電話&FAX 082-2217631

 

1、申し入れの内容

「黒い雨」訴訟での控訴を取り下げ、84人に被爆者健康手帳を交付すること

 私たちは825日に、「黒い雨」訴訟の控訴を取り下げるよう申し入れました。私たち以外にも各方面からの控訴取り下げの声が高まっているにもかかわらず、広島市は取り下げに応じておりません。1118日に広島高裁で第一回控訴審が開かれ、裁判長は、来年217日の第二回目の公判で結審となる可能性もあると述べています。私たちは、117日に「原告による報告会」、1213日には「黒い雨」に関する科学的知見について、「大瀧慈さん講演会」を開催しました。この中で、原告の方々の長年にわたる命をかけた国との闘いの苦労と、被ばくの実相を巡る最新の科学的知見について学びました。また、原告の訴えにまともに向き合わず、広島地裁の明確な判決にも従わず、「検討会」で時間稼ぎを行う日本政府への怒りが、より一層強くなっています。私たちは広島市に対し、国のでたらめな控訴にきっぱり異議を申し立て、直ちに控訴を取り下げ、原告84人に被爆者健康手帳を交付するよう、あらためて求めます。


2、理由

 広島地裁の、原告全面勝利・画期的判決。これを覆すことは許されない。

「黒い雨」の降雨域について 厚労省が「黒い雨」被爆地域の指定に使ってきた宇田降雨図を否定し、「降雨域は宇田雨域に止まるものではなく、より広範囲に降った事実を確実に認めることができる」と結論づけています。さらに、宇田降雨図より拡大した増田降雨図、大瀧降雨図を認めた上で、この降雨図に含まれない地域にも被爆者が存在することも考えるべきと述べていることは極めて重要です。

「黒い雨」に放射能が含まれていたかについて、判決文は「黒い雨には放射性微粒子が含まれていたと認められる」と述べ、「外部被曝に加え内部被曝を想定できる。健康被害を生ずる可能性があることは十分首肯される」と述べていずれも認めました。

原告の証言の評価について、判決文は、「原告らの供述は被告代理人の反対尋問を経てもその核心部分を信用できないとする事情は伺われず・・・陳述書の内容に不自然不合理な点はないことから、黒い雨に曝露したと認められる」と述べて、信用性があると結論づけています。

現行制度の評価と改善について 判決文は、健康診断受診者証制度が44年間定着してきたことを踏まえて、その制度で認められた被爆者と同程度の「黒い雨」の曝露があれば、健康管理手当対象の疾病があるかどうかを判断すべきとして、法を改正しなくても被爆者健康手帳の交付が可能であることを示しています。


3、国の控訴と検討会の不当性

 政府は、控訴の理由を「判決は十分な科学的知見に基づいているとは言えない」「長崎体験者制度の最高裁判決と違う」「最新技術で科学的に検討する」などと述べて、膨大な控訴理由書を提出しています。

  しかし、判決では「これまで黒い雨地域が被爆地域に指定された際、放射線量などが問われたことはなく、被爆者の援護に関する認識を改めるべき根拠が生じたわけでもないのに、本訴訟においてのみことさらに重視するのは相当ではない」と退けています。今さら「最新技術で科学的に検討する」と言うのもおかしな事です。やれるのであれば、年間の第一審の中でやるべきだったのです。

 また、国は「対象地域の拡大も視野に含めた」検討会を行うとして、1116日に第一回目の会議が行われています。しかし、何も期待はできません。本当に「拡大を視野に」入れているのだとすれば、一旦84人に被爆者健康手帳を交付した上で検討会もやればいいのです。また、対象地域の拡大と言ってもこの線引きが新たな分断を生む可能性は大きいです。広島地裁判決は、増田・大瀧降雨図の外にも「黒い雨」の被害者がいると言っているのですから、政府がいう「対象地域の拡大」などは今更必要ないのです。むしろ中途半端な「拡大」は、新たな分断を生み出します。検討会は、広島市と広島県を控訴に引き入れる口実にしかすぎないペテンです。

                      以上

 

2020年12月14日月曜日

12/13 大瀧慈氏講演会 ~「黒い雨」訴訟における”科学的知見”をめぐって~を開催



※NAZENヒロシマからの報告を紹介します。

 NAZENヒロシマが12月13日、講演会「『黒い雨』訴訟における“科学的知見”をめぐって」を開催しました。講師は、降雨範囲が国の援護対象地域の約6倍の広さであると指摘し、「黒い雨」訴訟原告側証人として一審勝訴に導いた大瀧慈氏(広島大学名誉教授・統計学、理学博士)です。被爆者、遺族、研究者、マスコミを含む約60名が駆けつけました。
 講演で大瀧氏は、原爆投下時の気象状況やキノコ雲の高さの分析などから、放射性微粒子が遠方にまで拡散したと説明。放射線障害とみられる疾病の発症状況は爆心からの距離だけに依存しておらず、直接被曝だけでは説明がつかない、と内部被曝の影響を示唆しました。さらに、国の原爆線量評価基準(DS86、DS02)は相当程度小さく見積もられており、広島、長崎の研究者が内部被曝の影響を隠蔽してきたことで、今のICRP体制があるのだと、はっきり糾弾しました。
 質疑応答では、実際に黒い雨に被爆した被爆者からの意見や質問が出されました。さらに厚労省「黒い雨」援護地域検証検討会委員で広大原医研元所長の鎌田七男さんが「内部被曝は50年経ってからでも影響が出るのだから、今からでも調べるべき。国は(比較のために)癌患者等のデータを公開すべき」と述べるなど、活発な意見交換がされました。
 おもねることなく科学に真摯な態度を貫こうとする科学者に深く共感するとともに、私たちもそれを支え、「黒い雨」訴訟に全面勝利し、内部被曝の影響や不安と闘う人たちと共に、“科学的知見”を大衆の手に取り戻すために行動する使命を感じる会になりました。

2020年12月6日日曜日

11/7 「黒い雨」訴訟原告による報告会の動画


 11月7日に行った「黒い雨」訴訟原告による報告会の模様を動画で公開します。多くの皆さんが原告の生の訴えと会場の意見交換を共有して「黒い雨」訴訟について知っていただきたいと思います。

講演会


「黒い雨」訴訟における‟科学的知見”をめぐって

●12月13日(日)12時30分開場/13時開始 14時30分終了
●東区民文化センター・大会議室  〔参加費〕500円



主催はNAZEN(全ての原発いますぐなくそう)ヒロシマ


 大瀧慈さん(広島大学名誉教授)は、今年7月広島地裁で勝利判決を勝ち取った「黒い雨」訴訟に原告(被爆者)側の証人として呼ばれ、「黒い雨」被爆者の発症した病気が、原爆の内部被曝による可能性について、科学的に証言されました。12月13日は裁判で証言された中身の解説や、その後の国・県・市の控訴に対する思い、あるいは「黒い雨」訴訟に関わった思いなど、一般向けに語っていただく貴重な機会となっています。
 関心のある方はどなたでも参加できるそうです。
 また終了後、14:45から同じ会場にて、8・6ヒロシマ大行動実行委員会を開催します。関心ある方は、86hiroshima.daikoudo@gmail.comまでご連絡ください!

※新型コロナ感染予防のため
●風邪症状がある方のご入場をお断りすることがあります。
●会場内ではマスクをして下さい。
●入場時に手指消毒をしてください。
●随時換気を喚起をしますので各自で防寒対策をしてください。

2020年12月2日水曜日

「黒い雨」訴訟に尽力した大瀧慈さん講演会へ!

 講演会


「黒い雨」訴訟における‟科学的知見”をめぐって

●12月13日(日)12時30分開場/13時開始 14時30分終了
●東区民文化センター・大会議室  〔参加費〕500円




主催はNAZEN(全ての原発いますぐなくそう)ヒロシマ


 大瀧慈さん(広島大学名誉教授)は、今年7月広島地裁で勝利判決を勝ち取った「黒い雨」訴訟に原告(被爆者)側の証人として呼ばれ、「黒い雨」被爆者の発症した病気が、原爆の内部被曝による可能性について、科学的に証言されました。12月13日は裁判で証言された中身の解説や、その後の国・県・市の控訴に対する思い、あるいは「黒い雨」訴訟に関わった思いなど、一般向けに語っていただく貴重な機会となっています。
 関心のある方はどなたでも参加できるそうです。
 また終了後、14:45から同じ会場にて、8・6ヒロシマ大行動実行委員会を開催します。関心ある方は、86hiroshima.daikoudo@gmail.comまでご連絡ください!

※新型コロナ感染予防のため
●風邪症状がある方のご入場をお断りすることがあります。
●会場内ではマスクをして下さい。
●入場時に手指消毒をしてください。
●随時換気を喚起をしますので各自で防寒対策をしてください。

2020年11月8日日曜日

11/7、「黒い雨」訴訟原告による報告会を開催!

 私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会は、11月7日、NAZEN(全ての原発いますぐなくそう全国会議)ヒロシマの仲間と共に、広島地裁で「全面勝訴」の画期的判決を勝ち取った「黒い雨」訴訟原告団の方を招き、その報告会を開きました。当日は会場を埋める85人が参加。「黒い雨」被爆者のたたかいと地裁判決の意義について、また国・県・市の控訴の不当性について、参加者全員で確認し、きたる控訴審(11月18日に第一回口頭弁論)勝利に向け心を一つにする感動的な報告会となりました。

まず最初に、「黒い雨」訴訟原告の本毛稔(ほんけみのる)さん(80歳)が発言。本毛さんは、5歳の時自宅近くで黒い雨を浴びたこと、その後も黒い雨や埃、塵を含んだ沢の水を飲み、野菜を食べて育ったこと、さらに自宅前の川の対岸は援護対象区域だが自宅周辺は対象外とされてきたことなど報告。「川を挟んで違う雨が降るわけがない。こんな線引きは納得できない」「控訴を聞きショックだった」と憤りを語りました。


つづいて、県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会事務局長・牧野一見(まきのかずみ)さんが42年間の住民運動と5年間の裁判闘争の経過を報告し、地裁判決について解説。同判決は、国の援護対象とした区域外で黒い雨を浴びても健康被害があり得ることを認め、放射性物質を体内に取り込む内部被曝を考慮するよう求めたもので、「画期的」と評しました。そして国・県・市の控訴を、「高齢化した原告と被爆者への冷酷な仕打ち」と断罪。加藤厚労大臣の「判決は十分な科学的知見に基づいているとは言えない」のコメントは、「判決では『これまで黒い雨地域が被爆地域に指定された際、放射線量などが問われたことはなく、被爆者の援護に関する認識を改める根拠が生じたわけでもないのに、本訴訟においてのみことさら重視するのは相当ではない』ときっぱり退けている」と紹介し、「判決を確定させて実施することこそ全面解決への近道」「世論の応援を力に控訴審での勝訴を目指す」と決意を述べられました。

さらに「特別報告」と題し、9月17日に控訴取り下げの意見書を全会一致で決議し、国と県に送付した安芸太田町議会から報告。「原告84名のうち27名がわが町の在住。これまでのいきさつを考えると、自治体は主体的に動かなければならない」、と決断に至った過程を明らかにされ、会場から大きな拍手を受けました。

その後、司会から、大瀧慈さん・矢ヶ崎克馬さんら「黒い雨」訴訟に尽力された研究者と福島在住の医師から寄せられた連帯のメッセージを紹介。会場の参加者からは「この判決は国の原子力政策に、全体的に影響を及ぼす。そういう意味で“画期的”だったからこそ、国は控訴した。『黒い雨』訴訟で、ようやくヒロシマとフクシマの連携をつくるきっかけを作らせてもらった」「これは原告だけの問題ではなく、広島、人類の問題。原告の方が代表して闘ってくださったおかげで色んなことが明るみになり、社会は改めて目を向けることができた」などの発言が続き、熱気あふれる意見交換の場となりました。

この日は新聞・テレビなど8社が取材し、控訴審を目前に控え、原告団と支援の思いの両方をアピールする良い機会になりました。「黒い雨」被爆者の人生かけた内部被曝告発の闘いの勝利に向け、運動の垣根や地域の違いを越えて、皆が力を合わせていく時です。「黒い雨」訴訟への支援をよろしくお願いします。

8・6ヒロシマ大行動実行委員会 K




(11月8日付中国新聞)

2020年10月23日金曜日

11月7日に「黒い雨」原告団の皆さんによる、報告会を開きます!


 (チラシをダウンロード、PDFデータ)


 広島地裁は7月29日、「黒い雨」降雨地域の拡大と内部被曝を認める画期的判決を下しました。しかし広島市・広島県は判決内容を不服として控訴し、今も取り下げていません。こうした中、原告団のみなさんの思いと地裁判決の中身について、私たちもしっかり学んでいく必要があると考え報告会をお願いしたところ、快諾していただきました。

(※集会は、8・6ヒロシマ大行動実行委員会と反原発に取り組むNAZENヒロシマとの共催になります)

 11月7日は、40年以上にわたって「黒い雨」問題に取り組んでられた牧野さん、原告になって法廷闘争をたたかってこられた「黒い雨」被爆者の方のお話を聞き、核や戦争の問題について誰もが深く考える機会にできればと思います。

 宣伝用のビラが欲しい方、また参加希望の方は、いずれも86hiroshima.daikoudo@gmail.com(11/7集会担当者)まで、お問い合わせください。

10月23日、松井市長あてに申し入れ

  私たちは10月23日に広島市役所を訪問し、松井・広島市長あて申入書を提出しました。内容は一つに、平和記念式典中の拡声器の音量について、さらに平和記念式典のあり方や松井市政のもとでの平和行政についてです。いずれに関しても重要な話し合いができました。そして今後もこうした協議の場を継続して開くことが確認されました。


広島市長 松井一實 様

申し入れ書

20201023

被爆75周年86ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮

86hiroshima.daikoudo@gmail.com

広島市中区幟町14-3-705 

 

1、今年の平和記念式典中の拡声器の使用については、市との協議に踏まえ、「(音の発生源から10m先で)85デシベル以内に収まるよう努力する」とし、当日も騒音計で測定するなど音量の配慮に努めました。しかし測定結果によると、地点によっては一時85デシベルを超えていたということで、大変遺憾です。一方アンケート結果によると、拡声器の音の受け止めについて、「(式典への)影響がない」が「悪影響がある」を上回るなどの変化がありました。当実行委員会としては、今後も拡声器の音量のあり方について独自の検討を続け、また、市との協議も継続したいと考えています。

 そのためにも昨年と同様、今年の式典参加者アンケート用紙や音の測定データあるいは録音データなど、検討に必要な情報について開示していただくよう求めます。

 

2、その上で私たちが求めてきた平和記念式典のあり方については、今年も課題が明らかになっています。

 特に、市は新型コロナ感染を理由に式典の大幅縮小を実施した上で、公選法違反で起訴された河井両議員や被買収議員については例年通り招待(実際に被買収議員が6名式典に参列していました)。その一方で、被爆者やその遺族、一般市民の参列を規制したことは、大きな波紋を呼びました。市は式典を開催する目的について、「原爆犠牲者の慰霊と世界恒久平和の実現。この点に変更はない」と言ってきましたが、果たして今年の式典がそうした目的にかなったものであったと言えるのでしょうか? 市民による徹底した検証が必要です。

 つきましては、引き続き、当実行委員会と平和記念式典のあり方に関しての協議を行うよう、そしてすべての市民から式典はどうあるべきかについての意見を求めるよう、強く求めます。

 

3、結局、8月6日をどういうふうに迎えるか、平和記念式典をどういうふうに実施するかは、その日だけの問題ではなく平素からの取り組みに規定される問題です。その観点から、松井市長のもとでの平和行政についていくつか見解を求めます。

・松井市長は、自らの考えに近いと思われる市民団体の申入れには直接対応し、異なる考えの団体には姿を見せないという態度をとっています。しかし市長であるならば、すべての意見に等しく耳を傾けるべきです。自らに不都合な人を拒否するような姿勢は、日本学術会議の任命拒否が問題となっている菅政権と同じと捉えられかねないと思うのですが、どのような考えをお持ちなのでしょうか?

・「黒い雨」訴訟原告団への対応について。7月29日の広島地裁判決の直後に原告が市長に控訴断念を申し入れ、その後も市・県の控訴を取り下げるよう複数の市民団体が申し入れたにも関わらず、市は高裁で争う姿勢を崩していません。判決の直後は控訴に否定的であったのに、控訴状では「科学的知見がない」と原告と真っ向争う姿勢を見せるなど、言動は矛盾しています。広島市として「黒い雨」訴訟原告団、および市民に責任ある説明を求めます。

・核兵器禁止条約の批准国が50ヵ国に迫り、発効の時期が迫っています。平和首長会議の会長である広島市長は、今年の「平和宣言」で日本政府に批准を求めましたが、今後日本政府に対しどのような対応をするつもりでしょうか。見解をおたずねします。

 

以上

2020年10月2日金曜日

今年の平和式典に汚職議員が6名参列していました!

 今年の平和記念式典に参列したうち、河井マネーを受け取った議員は全部で6名でした(広島県議会議員2名・広島市議会議員4名)。

【県議会議員】沖井純(50万)、山下智之(30万) 【市議会議員】伊藤昭善(50万)、海徳裕志(50万)、木戸経康(30万)、谷口修(50万)
広島市は今年の平和式典をコロナを理由に、一般市民はおろか被爆者・遺族でさえ参加を制限しました。その一方で、コロナであるにも関わらず河井夫妻はじめ、汚職議員を招待し、実際に参列していたのです! 「正義なくして平和なし」ーBLM運動の言葉を、被爆地ヒロシマでも噛み締めずにはいられません!


2020年9月30日水曜日

今年の平和式典の音量調査と参加者アンケートの結果が開示されました。



(9月24日付中国新聞)

 式典当日は騒音計で測りながらデモを行ったのですが、7地点で一時85デシベル(拡声器から10m先)を上回っており、残念です。またなるべく安倍首相の発言時間に合わせられるよう配慮を重ねた結果、会場内で拡声器の音が聞こえた時間は去年より短縮されたようです。式典参加者のアンケートでは、デモの音量について「式典に影響ない」が56%に達し、去年より約2倍に増え、「悪影響がある」を上回ったそうです。 ありがとうございます。今後も引き続き、市民のみなさん、広島市とも協議しながら、8月6日のあり方、被爆地ヒロシマのあり方についての考えを深めていきます。


第7回実行委員会を10月2日(金)に開催します。

 関心ある方、参加希望の方は、86hiroshima.daikoudo@gmail.comまで事前に連絡をください!

2020年9月18日金曜日

「黒い雨」控訴取り下げを求めて

 9月17日、安芸太田町議会が国と県に「黒い雨」控訴取り下げを求める意見書を全会一致で採択しました。同町には原告84人のうち27人が在住しており、一刻も早い判決確定と、被爆者健康手帳の交布を求めています。

(9月18日付中国新聞)

2020年9月8日火曜日

被曝75年8・6ヒロシマ大行動の報告集できました!

  今年の報告集できました! 総勢450人が集まり、コロナ禍で、やり抜きました。写真多め、全12ページの報告集。1冊50円で販売しています。

 8月5日、6日の全行程の様子と、学生・若者の感想文を掲載。ほしい方は86hiroshima.daikoudo@gmail.comまでご連絡ください!









2020年8月25日火曜日

25日、広島市・県に「黒い雨」控訴を取り下げるよう申入れ

 


(25日夕方のニュース番組で報道されました)

(8月26日付中国新聞)



広島市長 松井一實 様

 

申し入れ書

2020年8月25

被爆75周年86ヒロシマ大行動実行委員会 

事務局長 宮原亮

広島市中区幟町14-3-705

86hiroshima.daikoudo@gmail.com

 

(1)

  私たちは「黒い雨」訴訟(および原告のみなさん)に対して、広島市のとった対応をまったく認めることができません。

812日、松井市長は「黒い雨」訴訟判決(729日、広島地裁)を不服とし、広島高裁に控訴しました。その後の記者会見で松井市長は、被爆者健康手帳の認定・交付等が法定受託事務であることが控訴の理由かのように言い、「(市長としては)誠につらい気持ち」などと言い、周囲の同情を誘いました。しかしこれは、行政法や地方自治の専門知識が少ない人をけむに巻くような物の言い方です。

そもそも法定受託事務/自治事務の区別を導入した地方分権一括法では、国と地方自治体との対等な関係の構築を前提としており、法定受託事務は、自治事務に比べて国の関与が強いとはいえ、あくまでも自治体の業務です。そして地方自治法第245条の三(関与の基本原則)で、国は地方自治体の行う法定受託事務に関して、助言や是正の要求等をできることとなってはいますが、そうしなくて済むよう、トラブル回避の責任は国にあることも明記されています(地方自治法第245条の三の第2項)。よって、広島市が毅然と手帳を交付すると決めれば、国は口を挟めません。実際2009年に同様の判決が広島地裁によって下された際、市は控訴せず、原告に謝罪し手帳を交付しました。過去の事例からも、市の責任で手帳を交付できるのは明らかです。

 

結局このたびの「黒い雨」訴訟を巡る対応は、松井市長が国の意向を市の意向へと横滑りさせただけのことであり、「平和宣言」で被爆地市長として国に対し被爆者に寄り添ったような発言しようが、実際にはその使命を果たすつもりがないことを自己暴露したに過ぎません。地方自治体には国とも異なる立場—住民の暮らしと命を守る―があります。広島市は今すぐ控訴を取り下げ、国の意向ではなく裁判所の決定に従ってください。原告全員に被爆者健康手帳を交付し、原爆による放射能環境下での生活を余儀なくされたすべての住民(内部被曝者)の手帳交付に向け、認定作業を始めるよう強く申し入れます。

 

(2)

 原告団の闘いが切り開き、広島地裁民事第2部(高島・久保田・塚本裁判官)が下した「黒い雨」訴訟判決の画期性について、広島市は当然にも十分理解していると思うが、簡単に述べておきたいと思います。

 この度の判決は、原告84人全員に「被爆者健康手帳を交付せよ」と明快に述べているのですが、肝心なのは、雨域での線引きを行っておらず、一切の線量論を排したことにあります。判決では、政府が1976年に援護法の認定区域とした地域の56倍の範囲で「黒い雨」が降ったとする原告側の提出した証明を採用しました、その上で雨域の地区にいた住民を自動的に被爆者と認定するとはせず、雨域外にいたとしても「原爆の影響と関連性が想定される障害を伴う疾患に罹患したという結果発生が認められれば被爆者援護法13号に該当する」と判断したのです。

 これはつまり広島での被爆には、初期放射線被爆(=外部被曝)と非初期放射線被爆(=内部被曝)の大きく分けて二つの種類があり、後者について、司法が初めて真正面からその存在を認めたということを示しています(当然ながら原告84人がいたのは原爆の初期放射線がまったく到達しない地域です)。

 従来の政府の被爆者認定基準は、原爆爆発から1分以内に到達したと推定される初期放射線でもって、その人の臓器がどれだけの線量被曝したかを評価するものでした。そしてその基準は、20113月の福島第一原発事故後、放射線の人体に与える影響を評価する国際基準として使われてきました(DS86・ICRP)。恐ろしいことに福島では今もなお「内部被曝の危険性は無視してよいほど小さい」と断言され、事故直後から一部地域を除いては住民の移住・避難を推奨しない(現在はその一部地域でさえ帰還を奨励する)根拠にされているのです。広島や長崎で、内部被曝切り捨てと表裏一体で確立された非科学的な「被曝モデル」が、あたかも科学的であるかように施され(世界的には「ヒロシマ・ナガサキの知見」とまで権威付けされ)、実際には「黒い雨」の被爆者同様に、切り捨てられるヒバクシャをたくさん生み出してきたのです。

 

 しかし被爆から75年の今年、「黒い雨」訴訟原告団はついに巨大な虚構を暴き、裁判所も従来の非科学的な被爆者認定基準の根本的見直しを求めました。広島市はこの地平を一歩も踏みにじってはなりません。

国(厚生労働省)はこの判決を認めない代わりに、降雨地域の拡大については検討するというふざけた態度をとってきています。広島市はそれに便乗して、主体的判断を回避してはなりません。またもや、雨域での線引きやでたらめな線量評価によって、住民を被爆者と非被爆者に分断する愚策に追従してはなりません。国の被曝隠し、原爆投下=戦争責任の回避に、絶対に加担してはなりません。長崎にも、同様の闘い(被爆者健康手帳の交付を求めている「原爆体験者」訴訟)があります。広島市は長崎、福島をはじめ世界のヒバクシャとともに、核廃絶に向け世界をリードするよう、強く求めます。

 

以上

2020年8月14日金曜日

被爆75周年8・6ヒロシマ大行動(8月6日)

 〇改憲戦争すすめる安倍首相を許すな! 8・6早朝デモ


 被爆75年目の8月6日の朝、新型コロナウイルス危機の中でも約350人が原爆ドーム前に結集。被爆者、2世、3世をはじめ、全国の労働者・学生・市民が、「8・6ヒロシマを祈りだけの日にさせない」「核廃絶を世界に呼びかけ、行動しよう」と、資本・国家権力の手先である右翼の妨害をものともせず、ドーム前集会を打ち抜きました。8時15分の黙とうの後、安倍首相―松井広島市長の改憲と戦争政治にNo!をたたきつけるためデモ行進へ。


 沿道の多くの広島市民から、今までにない声援をもらい、大きく高揚しました。






〇改憲阻止・安倍政権打倒へ!8・6ヒロシマ大集会&大行進

 昼の8.6ヒロシマ大集会は、権力・右翼の妨害を打ち破って安倍首相の式典出席を弾劾した

高揚感に包まれて行われました。前半にふくしま共同診療所院長・布施幸彦さんから連帯アピールがあり、参加者全員で福島圧殺を許さない決意を固めました。後半で旧陸軍被服支廠保存運動について石丸紀興さん、「黒い雨」訴訟について大瀧慈さんが発言したことは、8.6ヒロシマ大行動の陣形拡大を実感できるものとなりました。


 集会後は会場から原爆資料館前までのデモに出発しました。街頭で手を振ってくれる人た
ちが例年より多かったです。コロナ禍に負けずに8.5~6ヒロシマを闘い抜いた力で、改憲阻止・安倍政権打倒に向けて進んでいきましょう。










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ヒロシマ・アピール’20 


 いま、世界は変わろうとしています。韓国で、フランスで、香港で、イタリアで、アメリカ全土で、民衆の決起が続いています。差別と分断と搾取をのりこえ、すべての人間が人間らしく生きられる社会を作りたいと願うひとびとの声が、世界にあふれ出しているのです。

 

 アメリカのトランプ大統領は、小型の「使える核」を実戦配備し、核実験の再開を検討しています。7月16日には、75年前のトリニティ実験場での世界初の核実験を「素晴らしい偉業」と称賛しました。破産寸前の資本主義社会をリセットするための新たな核戦争が現実味を帯びているいま、核兵器禁止条約を求める民衆の声はこれまでになく高まっていますが、アメリカも日本も条約に背を向け続けています。


 トリニティから3週間後の1945年8月6日、広島のひとびとは一発の原子爆弾の熱線と爆風と放射能によって無差別に惨殺されました。生き残ったひとびとも、子や孫の代まで続く健康不安を背負わされ、激しい差別にさらされました。

 第二次世界大戦が終わり、資本主義社会は新たな支配体制を必要としました。原爆の被害を隠し、「原子力の平和利用=原発」で核保有を正当化し、IAEAやNPTといったいまに至る核支配体制を作り、この75年間、核実験、核兵器、原発によってあらたな被曝者を生み出し続けてきました。


 しかしそういった支配体制に日本の労働者民衆が黙って呑み込まれてきたわけではありません。朝鮮戦争が始まると、広島の被爆者たちは在日朝鮮人たちとともに、核兵器使用阻止を訴えてゲリラ集会を決行しました。ビキニ事件を契機に原水禁運動が高まり、被団協が結成されました。声をあげ、立ち上がった被爆者と労働者民衆が日本の反戦反核運動を作ってきたのです。

 「黒い雨」訴訟もそのひとつです。7月29日、広島地裁は原告84人全員を被爆者として認定し、黒い雨による内部被曝の存在を認めるという判決を出しました。国の都合による補償の線引きで分断された被害者たちがたたかい続けてきたことは、いま福島で起きているたたかいと力強くつながっていくはずです。


 だからこそ支配者たちは、8月6日の広島で民衆の怒りの声があがるのを封じ込めようとしてきました。

 改憲にしがみつく安倍政権は、松井市長と右翼議員らに共謀させて、式典から反核の声を排除しようとデモ規制を画策し、それがかなわないとわかると、今度はコロナを理由に今年の式典は「慰霊に目的を絞る」と言い始めました。一般市民を締め出し、被爆者や遺族たちの出席さえ制限する一方で、核武装をもくろむ安倍首相や汚職議員らを平然と招待していることには、全世界があきれ返るでしょう。

 戦争と核兵器と原発の責任を問う被爆地ヒロシマの声を「慰霊」でねじ伏せてきた式典のありかたは、核支配体制を裏打ちしてきました。戦争と核のない未来を求める労働者民衆は、そんな式典のありかたをゆるすわけにいかないのです。


 「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」- そう刻まれた広島の原爆慰霊碑の前に立ち、むごたらしく殺された数十万人の民衆の声に耳をかたむけるならば、ひとは核廃絶を誓わずにいられないはずです。核戦争の準備をする者をそこに立たせ、うわっつらの慰霊をしようとすることに怒りをおぼえるのが、当たり前の人間の姿ではありませんか。

 核廃絶の誓いを果たすため行動する労働者民衆の手で、平和記念式典を核廃絶の道しるべにしていきましょう! 新たな核戦争と憲法改悪をとめよう! 核廃絶の声をもっと大きく! 広島から声をあげましょう! 



2020年8月6日

原爆ドーム前集会参加者一同