10月2日、市長あてに提出した申入書を紹介します。
この日、実行委員会のメンバーで市役所を訪れ、広島市が今年の平和記念式典会場にて行ったアンケートの集計結果をどのように分析し、今後の方針の根拠にしていく予定なのか質問しました。
また、私たち8・6実行委員会がそもそも問題にしてきた、広島市が主催する8月6日の平和記念式典の持ち方については、そもそも広く市民と話し合って検討すべきということで、10月22日の公開討論会に市長も参加されるよう要請しました(この点については10月10日に回答いただけるそうです)。
また、本来は私たちでなく、広島市こそ、専門家や市民を広く集めて、公開討論会のような、誰もが参加し発言できる、話し合いの場を設定すべきではないかと要請しました。
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広島市長 松井一實 様
8・6 ヒロシマ大行動実行委員会
連絡先 広島市中区幟町14-3-705
電話&FAX 082-221-7631
申入書
1,平和記念式典で行ったデモの拡声器による音の規制に関するアンケートと音量調査に関して
●アンケート回答者たった36.7%。これは有効なのか?
市議会に提出された資料によると、2992人にアンケートを行い、回答者は1098人だったという。この結果は、広島市のアンケート調査を63%が拒否したということを表しているのではないか。私たちは、36.7%しか回答者がいないアンケートの結果をいくら分析しても、市民の意見を正確に表すものは出てこないと考える。拡声器の音を規制しようとする広島市の意向自身が式典参加者から受け入れられなかったと捉えるべきではないか。広島市の見解を求める。
●その上で、規制条例賛成は359人(回答者の32.7%)である。2018年12月の3000人を対象にしたアンケート結果では、69.1%が条例を定めて規制すべきだと回答したとしているが、倍以上の違いがある2つのアンケート結果について広島市はどのように捉えているのか、見解を求める。なお、一回目のアンケートにはテレビで視聴したという人も含まれていた。テレビではほとんどデモの声は聞こえてこないことを考慮すれば、一回目の調査の69.1%という数字はなぞである。
●広島市は、拡声器の音量を調査したという。どこで、どのように、何を調査したのか。また、その結果を明らかにされたい。
そもそも、様々な声や音がでる空間で、拡声器の音量のみを測ることが可能なのか。また、どれほどのやかましさだったら規制するのかの基準も公表されないままの調査は、結果をどのようにも恣意的に解釈できる。私たちは、音量調査そのものが非科学的で非民主主義的であると考える。「音量調査」をするということで、デモの拡声器使用を威圧・恫喝するためとしか捉えられない。
2,平和記念式典は、なぜ、無条件に「静か」でなければいけないのか?
広島市は、「この式典は、原爆死没者の霊を慰めるとともに世界恒久平和の実現を祈念するために行うものであり、厳粛な実施に努めています」と言っている。しかし、「霊を慰めること」「世界恒久平和の実現を祈念する」ことと、「厳粛」という結論を結びつけるには無理がある。なぜ、厳粛でなければならないかの理由が明らかにされていない。
8月6日8時15分の時の過ごし方は、多様であり、式典のあり方についても様々な意見がある。
たとえば、はだしのゲンの作者の中沢啓治さんは、「やらないよりはやった方がいいとは思ったが、被爆体験への忌まわしさと戦争責任を追及しない内容に『あんな白々しい式典で、あの原爆地獄の苦しみと怒りと、悲しみが、鎮められるか』と参加したことはなかったという。(2011年、広島市の招請で初めて参加)また、「戦争を引き起こした戦犯の人形を並べて市民が石をぶつける式典なら喜んで参加したい」と述べている。また、被爆で母親を亡くした反戦被爆者の会の下田禮子さんは、「無念にも殺された被爆者の人は、みんな墓から出てきて恨みや怒りを大声で叫んでほしい」と言っておられる。問われるべきは、原爆の投下責任を問わず、投下責任者の罪を問わないことに象徴される現在の式典のあり方ではないか?この思いは、被爆者をはじめ多くの人々の中に存在し続けている。
今、アメリカがトランプ大統領の下で、小型核兵器の開発と使用を公言し、核戦争の危機が迫っているとき、8月6日にヒロシマが何を発信するのかは極めて重要であり、世界中の人々が注視している。アメリカの核の傘の下で、核兵器禁止条約に反対し、憲法を改悪して、再び戦争への道を進む安倍首相の発言を黙って聞くような静かな式典は、原爆死没者の霊を慰めることはできないし、恒久平和の実現とはほど遠い。むしろ、殺された被爆者をむち打ち、再び核戦争への道を掃き清めるものであると考える。同じように広島市長の平和宣言の内容も問われている。広島市の見解を求める。
3被爆者、遺族、市民の声を広く深く聞いて、式典のあり方を検討することを要請する。
広島市は、今年中に規制のありかたを決定するとしているようだが、2回のアンケートからどのような結論が出せるというのか?広島市の行政は、言論・思想・信条に関わる重要な権利をを守り保障するためにこそあるべきだ。今年は、平和宣言の内容や拡声器規制をめぐって、様々な声が出され、新聞への投書もあった。多くの人が、式典はどうあるべきか、そもそも8・6原爆投下とは、戦争とは、ということについて深く考える状況が生み出されている。被爆75周年を前に起こっているこれらの動きは非常に重要だと考えるが、広島市の見解を明らかにされたい。
私たちは、10月22日に、拡声器規制問題について第二回目の公開討論会を予定している。一回目は、出席していただけなかったが、改めて、広島市長、関係部局の出席を要請する。広島市の姿勢を市民に直接伝える良い機会にもなる。被爆者、幅広い市民の声を直に聞き、いっしょに討論することによって、広島市の平和式典、平和行政のあり方を市民とともに作っていっていただきたい。 以上