昨年の8月6日原爆ドーム前の反戦反核集会に参加し、右翼の集会破壊から集会を守った5人が「暴力行為等処罰法」で逮捕されてから7ヶ月以上が経過しています(8・6ヒロシマ暴処法弾圧)。広島地裁はこの間、公判を開くこともなく、無実の5名を広島拘置所に拘束し続けています。
10月8日、広島地裁は「公判前整理手続き」を開催しました。弁護団は直ちに公判の開催を求めましたが、裁判所はそれをさえぎって「公判前整理手続き」を強行したのです。
憲法違反の密室証人尋問を強行
しかも、非公開の公判前整理手続きでなんと検察側の証人尋問を強行しました。裁判はその公正を保つために公開が原則です。そのことは憲法28条にも明記されており、特に政治犯罪や基本的人権に関わる裁判は「常にこれを公開しなければならない」と規定しています。
こんなことは裁判官や検察官といった司法に関わる者であればイロハのイであり、当然知っていることです。
密室での証人尋問という前代未聞の暴挙に弁護団は裁判官の忌避を申し立てましたが、裁判所は自分が7ヶ月以上も公判を開かず、裁判を長引かせているくせに、弁護団に対して「裁判を長引かせるための忌避」 などと強弁して即時に棄却し、証人尋問を強行しました。
警察が我が物顔で制圧する法廷
この日の広島地裁は裁判所全体に多数の警察官が配置されていました。私たちが裁判所に5人の早期釈放を求める申し入れを行った後、法廷のある階まで移動したところ、何と「立入禁止」の貼り紙がしてあり、裁判所職員と警察官が立っていて中に入れないと言うのです。「立ち入り禁止」のガラス扉の中、法廷の前には警察官が陣取り我がもの顔で歩いています。しかも法廷の審問室の中から警察官が出てくるではありませんか! 支援者は排除し、警察は我が物顔でうろつく法廷で、警察官の証人の尋問を密室で行う。まさに戦時下の戦時司法さながらの状況でした。かけつけた支援者は怒りの声を叩き付けました。
袴田無罪! 8・6暴処法弾圧もでっち上げだ!
袴田事件の無罪が確定しました。証拠を捏造までして、58年間も無実の袴田さんを「死刑」の罪に置き続けてきたのです。裁判所や静岡県警が「謝罪」をしましたが、謝罪ですまされることではありません。国家犯罪であり、責任者は処罰されなければなりません。
8・6ヒロシマ暴処法弾圧も全く同じです。原爆ドーム前反戦集会への弾圧として、治安維持法と一体で制定された暴力行為等処罰法を使って5人を半年以上も経った後で逮捕し、8カ月も保釈せず接見禁止で家族の面会さえ認めず、広島拘置所に勾留しています。転向し「罪」を認めない限り出さないという「人質司法」そのものです。
小川、角谷、伊集裁判官(この裁判は3人の合議)は袴田事件の過ちを今まさに繰り返しています!
5人の保釈を直ちに認めよ! 接見禁止を解除せよ! 直ちに公判を開け!
裁判所に対する被告家族の抗議申し入れ(抜粋)
2月28日午前7時、私たち家族が住む自宅に広島県警が家宅捜索を行い、夫を逮捕しました。この家宅捜索と夫の逮捕に「正当な理由がある」、「(一定の証拠に基づき)罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、逮捕の必要性がある」と許可を出したのは他でもない広島地方裁判所です。
全く真面目に検討された様子もなく「証拠隠滅の恐れあり」と何を根拠に言っているのか、家族面会の申請が却下されていることに、本件が政治弾圧であることを感じざるを得ませんし、貴裁判所への強い憤りを感じます。
「無実なんて争わないで」「娘のために帰ってきて」「戦争反対よりも家族を大事にして」と私たちに言わせたいのでしょうか。本件弾圧は私たち家族にかけられた「反戦運動をやめろ・やめさせろ」という転向強要であると感じています。(冨山さんの家族の申入書から)
大正時代に制定された法律が、令和の時代の労働者たちの運動を弾圧するために使われようとしているのですね。驚きです。思想や言論の自由は日本国憲法で保障されているのではありませんか? 「厳粛な式典」を希求するあまり、集会を禁止して力によって押さえ つけようとすること事態が、愚かな過ちです。今回の理不尽な弾圧に強く抗議したいと思 います。(髙田さんの家族の申入書から)