2021年2月24日水曜日

椋木市議の発言に対し、公開質問状を提出しました。

  広島市平和推進条例(仮称)の政策立案検討会議の一員である椋木太一市議(安佐南区・自由民主党)が、同条例について、「当実行委員会の8月6日のデモを規制する目的で制定する」と公言しました。これは、同検討会議が市民に説明してきた、条例制定の目的とはまったく異なるため、2月24日、市議会および、同検討委会議に、公開質問状を提出しました。

 3月3日までに、誠意ある回答を求めています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2021年2月24日

 

広島市議会議長 山田春男  さま

同政策立案検討会議代表 若林新三  さま

 

                         

8・6ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮

広島市中区幟町143705

電話・fax 0822217631 メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com

 

 

「広島市平和推進条例」(仮称)に関する公開質問状

 

 貴職におかれて検討中の広島市平和推進条例案(以下、条例)につき、検討委員の一人である椋木議員が『アゴラ』(2月18日)に、意義と効果を発表されていることが判明しました。過日2月8日に検討会議代表・若林議員に面談の際に拝聴した趣旨では、「これは理念法であり、何ら市民の活動を規制するものではない」とのことであり、委員である椋木氏によって真逆の趣旨説明が行われていることに大変な疑念を抱いております。

(アゴラ:左派デモ団体平和祈念式典妨害を許すな:広島市平和推進に関する条例策定中

 椋木氏はその中で、「改めて条例策定の背景や経緯などを説明する」として、「原爆投下の86日に開催される(平和記念式典)の最中に、86ヒロシマ大行動実行委員会が拡声器で叫んだり、太鼓を打ち鳴らしたりするため、平和記念式典の静謐な環境が保てなくなっている」。アンケートを実施したところ、「多くの市民がうるさいと感じている」ことが分かった。そして「広島市議会は20196月、各会派の代表者による『政策立案検討会議』を作り、条例素案の策定作業を進めてきました。」と述べています。続いて、条例素案について「特筆すべきは、第62項の存在です。同項は、本市は、平和記念日に、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、市民の理解と協力の下に、厳粛な中で行うものとする」と規定しているとして、この条例が8・6ヒロシマ大行動の思想信条・政治意見の表明であるデモ行進を封殺するためであることを衒(てら)いもなく表明しています。

 

 椋木氏は、さらに、「この素案に反対するということは、平和推進を否定することにつながり、広島市民の平和を希求する思いを踏みにじることにもなります。」とまで言い切っています。こうして、条例第5条(市民の役割)の規定が、平和とその達成の道筋について当局と異なる意見を持つものは「平和への裏切り者」と断罪され、言論・表現の自由を奪われることが合法化されます。戦前、〝東洋平和″の名の下に国民総動員法が施行され、戦争協力が強いられた歴史が繰り返されるのです。被団協が条例案に先の大戦を思い出すとしているのは、余りにも当然です。

 

 確認しておきたいことは、2月17日条例に対する意見表明をされた際に、被団協の箕牧理事長代行が「式典中に『やかましいのう』というほどの音は感じていない。みんながよいと思える条例にしてほしい」と述べられたことです。実際、広島市が行なっているアンケート調査でも、2020年には被爆者・家族でハンドマイク使用の規制を求める声は激減しています。椋木氏は己に不都合な事実を隠してまで、6条2項を挿入できたことを自画自賛しており、全く不誠実です。本年の8・6においてもどのような形でデモを行うかは私どもと市役所とが協議中であり、それに水をさすものでしかありません。

 

 椋木氏によるところの同条例の規制当事者として、以下2点質問します。

 

1)上述した椋木氏の意見を市議会、特に政策検討委員会として共有されておられるかということです。また、このような狙いを持つことを秘匿して条例を制定すれば、この条例だけでは効果がないとして、実際の運用において処罰法として機能するよう改悪する必要に迫られることになるでしょう。市議会および政策立案検討会議として、椋木氏を一人の自由な願望的意見として放置しておくことについての是非と、今後どのように対処されるかについて、明らかにされたい。

 

2)今後の進め方について当事者として要請を行います。

 椋木氏が述べるような不純な動機で制定が目論まれたにしても、598件もの多数のパブリックコメントが寄せられたことは大きな意味を持っています。被団協の条例への意見が指摘するように、この条例には「核兵器禁止条約」の国際法としての発効に伴って課題となる「日本国の批准」についてどうするかの方針がない。また、黒い雨訴訟において控訴を強行した広島市の平和行政について反省もない。従ってパブリックコメントには、この2点に象徴される広島市の平和行政とその象徴的な場である平和式典のあり方が、市民の主体的な判断と行動からかけ離れたことへの批判が少なくないことは推察に難くありません。また、識者や若者から「平和の意味があまりに狭く貧弱」だとの声も新聞報道にある通りで、根源には75年間の平和行政についての総括がなされてないことがあります。卑近な例で言えば、核兵器禁止条約の制定は広島市ではなく、 被爆者をはじめとする国際的な市民運動の成果です。

そこで、まず条例を3月末までに制定という方針を撤回し、次に、パブリックコメントに寄せられた声をヒロシマ研究者の分析と平和団体、市民・若者の討論に付し、そこに市議会議員も参加して学ぶという謙虚な姿勢を求めたい。

 

  上記2点について202133日(水)までに書面にて誠実な回答をいただけるよう、要請します。結果は当実行委員会HP上で公開します。

 

以上

 

2021年2月18日木曜日

2月9日、広島市との協議を実施しました。

  前回12月24日の協議に踏まえ、2月9日、今年の平和記念式典中の拡声器の使用をめぐって、市(市民活動推進課)と当実行委員会との協議を開催しました(写真はRCC報道ニュースより)。

 



「令和3年平和記念式典の挙行に適した環境の確保について(提案)」(2021年1月21日付)への回答

 

202125

86ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮

広島市中区幟町143705

電話・fax 0822217631 メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com

 

 

1、(提案)【式典当日の実施内容】について

「2」「3」「4」「5」に反対です。市の職員がデモ行進に指示を出し、その実施形態に変更を求めるということに関して、一体何の法的根拠があるのでしょうか? 憲法に保障された基本的人権の侵害ではないですか。29日の話し合いの場で、回答を願います。 

日本国憲法第19条

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

日本国憲法第21条1項

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

これまで述べてきたことの繰り返しになりますが、私たちは憲法破壊のデモ規制を容認するなど絶対にできません。

 「1」については、市の職員も私たちと一緒にデモを行うのであれば歓迎します。

 

 

2、(提案)【式典当日に向けた事前準備】について

「2」の事前測定に参加します。

 私たちは、昨年独自に事前測定し、式典当日も測定しながらデモ行進に臨みましたが、広島市が測定を依頼した業者の測定器とは異なるものでした。事前測定は、この問題の解決にもなろうかと思います。現在、本実行委員会では、今年の86当日のデモ実施内容について、例えばハンドマイクを向ける方向を変更するなど、85デシベル以下に抑制するための方法をさまざまに検討している最中です。そうした手段の実験の場にもなろうかと思っています。

 いずれにしても、この85デシベル問題は、私たち8・6ヒロシマ大行動だけの問題ではなく、憲法に保障された基本的人権規制に係る重大な問題なので、しっかり論議・検討した上で8月6日のデモ行進に臨みたいと考えています。

 

 

3、その上で、このような(提案)と回答要請が突然に送られて来たことに、違和感を覚えます。

昨年私たちは、広島市との間で「85デシベル以下に収まるようを努力する」と合意しました。しかし実際には、一部の地点で超えることとなったことを遺憾に思い、今年さらなる努力を行うと、昨年1224日の話し合いの席で表明したところです。

 今回のように、前回(1224日)の確認を越えて、「文書にて令和3年2月5日(金)までに御解答くださるよう」と言う一文を付け足して文書を送付するというのは、お互いの信頼関係を揺るがすものです。「有意義な話し合いを」と言うのであれば、「1224日の山根課長の発言を、補足して文書化したので、検討してください」となるのではないでしょうか。今後は話し合いの確認をあとで付け足したり、変更したりすることがないよう、強く抗議します。

 

 

4、平和記念式典のあり方、平和行政の在り方について引き続き真摯な回答を求めます。

 私たちは、2018年末に拡声器の音量が取り上げられた当初から、「核廃絶に向けた日本政府や広島市の取り組みの方を問題視している」と述べてきました。市民活動推進課のみなさんは私たちと約2年間さまざまな話をしてきたのですが、何か一つでも市民活動から学んだことはあるのでしょうか?

 先日122日は、ついに核兵器を違法とする核兵器禁止条約が発効しました。この条約の発効に、そしてそれを拒否する日本政府に、市民活動推進課の職員としてどのようなご意見をもっているのですか? また今年の平和記念式典でもし例年通り首相を招くのであれば、広島市はどういう態度表明をするべきだと考えていますか?

今月17日には、「黒い雨」訴訟の控訴審第二回公判が広島高裁で開かれます。地裁に続き高裁でも敗訴が確定すれば、広島市はますます自らの法律(被爆者援護法)違反の行政を言い逃れできなくなるでしょう。そういう現下の広島市政について、市民活動推進課の職員としてどのような意見をおもちでしょうか? 29日に、真摯にお答え願います。

 

以上

市側が1月21日付で、突然(提案)なる文書を当実行委員会送ってきたので、その回答書を事前に(2月5日)に提出し、この日の話し合いに臨みました。




「黒い雨」控訴審が結審。判決は7月14日に。

 2月17日に広島高裁で開かれた「黒い雨」控訴審が、2回目の口頭弁論で結審しました。早期結審に、「勝訴に向かっていると強く思う」(原告団長・高野さん)。

 一審に続く二審での勝利に向かって、被爆者のたたかいは力強く前進しています。広島市・県と国は今すぐ控訴を取り下げ、すべての被爆者に被爆者健康手帳を交付すべき! 判決言い渡しは、7月14日15時からです。


県被団協も、平和推進条例素案の修正ないし削除を要求

  広島市議会が策定を目指す平和推進条例(仮称)について、県被団協(坪井理事長)の箕牧理事長代行が、2月17日、5条と6条2項の削除か修正を求める意見書を提出されました。



 一方8月6日のデモに反対する3団体が、素案に全面賛成の申し入れをしたようです。これらの団体は、保守系の一部市議と結託して検討委員会を通じて自分たちの主張を同条例にねじ込もうとしてきたので、必死に抵抗しています。


2021年2月13日土曜日

広島弁護士会が、平和推進条例素案に懸念を表明!

  広島弁護士会は、2月12日、会長声明を発し、広島市議会が制定しようとしている「平和推進条例」(仮称)について、「表現の自由」を制約するなどの懸念を市議会議長に伝えるとともに、記者会見を行ったそうです。

 私たちも12日の午前に市役所記者室で記者会見を行い、8日に行った同条例案の検討委員会代表である若林市議らとのやりとりを報告し、同条例案の削除・修正を求めました。



(2月13日 中国新聞)

2021年2月8日月曜日

「広島市平和の推進に関する条例」(仮称)制定について申入れ

  私たちは、2月8日、広島市議会が今年度中に制定しようとしている「平和の推進に関する条例」(仮称)について、申し入れを行いました。政策立案検討委員会議の若林市議、および議会事務局・市政調査課の職員ら3名と約1時間話し合うことができました。

 平和条例化については、実行委員の中にもさまざまな意見がありましたが、当実行委員会としての質問内容は2点に絞って【第5条(市民の役割)と、第6条(平和記念日)第2項】あとは市議会HPで呼びかけられている個人での意見表明の機会を使って、自由に述べてもらうことにしました。

 関心のある方、まだ応募していていない方は、ぜひ市議会に対する意見の表明をお願いします。

広島市議会HP/意見募集サイト



(2月10日 上…朝日新聞、下…中国新聞)
 新聞でも、疑問や批判的な意見が取り上げられ、市民の関心が高まっています。

以下は、当実行委員会が提出した申入書です。


広島市議会政策立案検討会議 代表 若林 新三 様

 

「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」制定についての申入れ

 

2021年2月8日 

8・6ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮

広島市中区幟町143705

電話・fax 082221-7631

メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com

 

 日頃の議会活動に敬意を表します。

 私たちは、被爆地ヒロシマで長年市民活動に携わってきた立場から、貴検討会議の【条例制定の趣旨】には概ね賛成です。しかし、同条例素案について疑問点もあります。本日の話し合いでその疑問(懸念)が解消するものであれば良いのですが、もし解消しない場合には貴検討委員会での今後の討議を要請したいので、書面にて申し入れます。


1、(市民の役割)「第5条 市民は、本市の平和の推進に関する施策に協力するとともに、平和の推進に関する活動を主体的に行うよう努めるものとする」について。

 「市民は、本市の平和の推進に関する施策に協力するとともに」とありますが、「協力するとともに」という一文を入れた理由は何でしょうか? 市民が広島市の進める施策に反対したり、広島市の進めるものとは異なる平和活動をしたりすることを、貴検討委員会は想定されていないのでしょうか? 

 戦後史を振り返ると、市民の主体的な取り組みが広島市の平和行政を変えてきた事例は、枚挙にいとまがありません。

 平和記念式典は1952年から現在の場所・形式で行われるようになったのですが、54年の第五福竜丸被曝をきかっけに広がった原水爆禁止国民運動、その後55年原水禁運動発足、56年被団協結成など、全国的な市民運動の高揚を受けて形を変えてきました。市長の平和宣言で「原水爆の保有と実験を理由づける力による平和がおろかなまぼろし」という一文が入り、平和記念式典で市長から明確に「反核」が訴えられたのは、実に57年のことでした。

 また、広島市長として核実験の抗議電報を送った最初の人は、19679月の山田節男市長であり、以後今日まで続いています。同様に初めて核実験への慰霊碑前抗議座り込みに参加したのも山田氏なのですが、いずれも原水禁・被団協を中心に市民の取り組みが先行し、粘り強く続けられてきたのは周知の事実です。その他、「平和研究」「平和教育」等の分野においてもしかりです。要するに広島市の平和行政は、市民活動の築き上げた地平を後追いする形で整備され、前進してきたと言えるでしょう。よって、広島市の平和行政の発展に市民の自主的な平和活動への参加が大前提であり必須不可欠である、という点に異存はないのですが、それは「市の行う施策に協力するものばかりではなかったことによって、隆盛した」という点が肝要かと思います。

 本条例素案は、そうした市民活動の相対的独自の領域を保障するものであるのか、質問します。

 

2、(平和記念日)「第6条2項 本市は、平和記念日に、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行うものとする」について。

 「厳粛の中で」という言葉をあえて入れる理由をお聞かせください。これまでの歴史を振り返ったとき、平和記念式典が厳かさに欠けていた(=不真面目に行われた)歴史はないと思います。

 そこで頭に思い浮かぶのが、当実行委員会に対し、平和記念式典の「静ひつな環境での実施」を求めている松井・広島市長のことです。

 当実行委員会は、「核の脅威や戦争が続く限り、被爆者の願い、ヒロシマの心は達成されたとは言えない」との考えのもと、8月6日をただただ「慰霊の日」「祈りの日」とすることに長年反対し、「核と戦争をなくすための行動の日でもある」としてきました。そして、平和記念式典に日本の首相を招くのであれば、核や戦争・憲法の問題に対し被爆地からの意見・要望をしっかり述べるべきであり、曖昧にすべきではないとして、デモ行進をしてきました。

 それは、「黒い雨」被爆者のたたかいが示すように、被爆から75年経ってもヒロシマの問題は何ら解決していないからです。被爆者への補償の問題も、核廃絶の問題も、世界恒久平和の実現の問題も、課題の方が山積していると言ってもいい。こうした現実に蓋をして、課題を「平定」し、ヒロシマを「過去のこと」であるかのようにして作られる「平和」は虚構だと考えます。「no justice! no peace!」(正義なくして、平和なし)――これは人種差別撤廃を求めるBLM運動の中で言われた言葉ですが、そっくりそのままヒロシマにも言えることだと思います。

 2018年末から、突如として私たちが長年行ってきた86日のデモ行進が、広島市との間で焦点となってきました。それには、こうした考え方が背景にあることをまず申し述べておきます。

その上で、私たちは決して拡声器の音量にこだわっているのではありません。市も「市民活動に対する思想・表現の自由を規制してはいけない」との認識のもと、話し合いでの解決を望んでいます。市との協議は継続しており、今年の86日は、昨年以上の努力を行う所存であることをすでに広島市に伝えております。市が3回行った市民アンケートの回答を見ても、条例規制を求める割合は減っており(69%→22%)民意は示されています。

 つきましては、「厳粛の中で」という言葉を使って、憲法で保障された「基本的人権の尊重」に例外を作ろうという政治的思惑=拡声器規制条例の布石とすることのないよう、強く求めます。

 

以上