広島市議会が策定を目指す平和推進条例(仮称)について、県被団協(坪井理事長)の箕牧理事長代行が、2月17日、5条と6条2項の削除か修正を求める意見書を提出されました。
一方8月6日のデモに反対する3団体が、素案に全面賛成の申し入れをしたようです。これらの団体は、保守系の一部市議と結託して検討委員会を通じて自分たちの主張を同条例にねじ込もうとしてきたので、必死に抵抗しています。
広島市議会が策定を目指す平和推進条例(仮称)について、県被団協(坪井理事長)の箕牧理事長代行が、2月17日、5条と6条2項の削除か修正を求める意見書を提出されました。
一方8月6日のデモに反対する3団体が、素案に全面賛成の申し入れをしたようです。これらの団体は、保守系の一部市議と結託して検討委員会を通じて自分たちの主張を同条例にねじ込もうとしてきたので、必死に抵抗しています。
広島弁護士会は、2月12日、会長声明を発し、広島市議会が制定しようとしている「平和推進条例」(仮称)について、「表現の自由」を制約するなどの懸念を市議会議長に伝えるとともに、記者会見を行ったそうです。
私たちも12日の午前に市役所記者室で記者会見を行い、8日に行った同条例案の検討委員会代表である若林市議らとのやりとりを報告し、同条例案の削除・修正を求めました。
私たちは、2月8日、広島市議会が今年度中に制定しようとしている「平和の推進に関する条例」(仮称)について、申し入れを行いました。政策立案検討委員会議の若林市議、および議会事務局・市政調査課の職員ら3名と約1時間話し合うことができました。
平和条例化については、実行委員の中にもさまざまな意見がありましたが、当実行委員会としての質問内容は2点に絞って【第5条(市民の役割)と、第6条(平和記念日)第2項】あとは市議会HPで呼びかけられている個人での意見表明の機会を使って、自由に述べてもらうことにしました。
関心のある方、まだ応募していていない方は、ぜひ市議会に対する意見の表明をお願いします。
以下は、当実行委員会が提出した申入書です。
広島市議会政策立案検討会議 代表 若林 新三 様
「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」制定についての申入れ
2021年2月8日
8・6ヒロシマ大行動実行委員会 事務局長 宮原亮
広島市中区幟町14-3-705
電話・fax 082-221-7631
メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com
日頃の議会活動に敬意を表します。
私たちは、被爆地ヒロシマで長年市民活動に携わってきた立場から、貴検討会議の【条例制定の趣旨】には概ね賛成です。しかし、同条例素案について疑問点もあります。本日の話し合いでその疑問(懸念)が解消するものであれば良いのですが、もし解消しない場合には貴検討委員会での今後の討議を要請したいので、書面にて申し入れます。
1、(市民の役割)「第5条 市民は、本市の平和の推進に関する施策に協力するとともに、平和の推進に関する活動を主体的に行うよう努めるものとする」について。
「市民は、本市の平和の推進に関する施策に協力するとともに」とありますが、「協力するとともに」という一文を入れた理由は何でしょうか? 市民が広島市の進める施策に反対したり、広島市の進めるものとは異なる平和活動をしたりすることを、貴検討委員会は想定されていないのでしょうか?
戦後史を振り返ると、市民の主体的な取り組みが広島市の平和行政を変えてきた事例は、枚挙にいとまがありません。
平和記念式典は1952年から現在の場所・形式で行われるようになったのですが、54年の第五福竜丸被曝をきかっけに広がった原水爆禁止国民運動、その後55年原水禁運動発足、56年被団協結成など、全国的な市民運動の高揚を受けて形を変えてきました。市長の平和宣言で「原水爆の保有と実験を理由づける力による平和がおろかなまぼろし」という一文が入り、平和記念式典で市長から明確に「反核」が訴えられたのは、実に57年のことでした。
また、広島市長として核実験の抗議電報を送った最初の人は、1967年9月の山田節男市長であり、以後今日まで続いています。同様に初めて核実験への慰霊碑前抗議座り込みに参加したのも山田氏なのですが、いずれも原水禁・被団協を中心に市民の取り組みが先行し、粘り強く続けられてきたのは周知の事実です。その他、「平和研究」「平和教育」等の分野においてもしかりです。要するに広島市の平和行政は、市民活動の築き上げた地平を後追いする形で整備され、前進してきたと言えるでしょう。よって、広島市の平和行政の発展に市民の自主的な平和活動への参加が大前提であり必須不可欠である、という点に異存はないのですが、それは「市の行う施策に協力するものばかりではなかったことによって、隆盛した」という点が肝要かと思います。
本条例素案は、そうした市民活動の相対的独自の領域を保障するものであるのか、質問します。
2、(平和記念日)「第6条2項 本市は、平和記念日に、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行うものとする」について。
「厳粛の中で」という言葉をあえて入れる理由をお聞かせください。これまでの歴史を振り返ったとき、平和記念式典が厳かさに欠けていた(=不真面目に行われた)歴史はないと思います。
そこで頭に思い浮かぶのが、当実行委員会に対し、平和記念式典の「静ひつな環境での実施」を求めている松井・広島市長のことです。
当実行委員会は、「核の脅威や戦争が続く限り、被爆者の願い、ヒロシマの心は達成されたとは言えない」との考えのもと、8月6日をただただ「慰霊の日」「祈りの日」とすることに長年反対し、「核と戦争をなくすための行動の日でもある」としてきました。そして、平和記念式典に日本の首相を招くのであれば、核や戦争・憲法の問題に対し被爆地からの意見・要望をしっかり述べるべきであり、曖昧にすべきではないとして、デモ行進をしてきました。
それは、「黒い雨」被爆者のたたかいが示すように、被爆から75年経ってもヒロシマの問題は何ら解決していないからです。被爆者への補償の問題も、核廃絶の問題も、世界恒久平和の実現の問題も、課題の方が山積していると言ってもいい。こうした現実に蓋をして、課題を「平定」し、ヒロシマを「過去のこと」であるかのようにして作られる「平和」は虚構だと考えます。「no justice! no peace!」(正義なくして、平和なし)――これは人種差別撤廃を求めるBLM運動の中で言われた言葉ですが、そっくりそのままヒロシマにも言えることだと思います。
2018年末から、突如として私たちが長年行ってきた8月6日のデモ行進が、広島市との間で焦点となってきました。それには、こうした考え方が背景にあることをまず申し述べておきます。
その上で、私たちは決して拡声器の音量にこだわっているのではありません。市も「市民活動に対する思想・表現の自由を規制してはいけない」との認識のもと、話し合いでの解決を望んでいます。市との協議は継続しており、今年の8月6日は、昨年以上の努力を行う所存であることをすでに広島市に伝えております。市が3回行った市民アンケートの回答を見ても、条例規制を求める割合は減っており(69%→22%)民意は示されています。
つきましては、「厳粛の中で」という言葉を使って、憲法で保障された「基本的人権の尊重」に例外を作ろうという政治的思惑=拡声器規制条例の布石とすることのないよう、強く求めます。
以上
私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会と、すべての原発いますぐなくそう(NAZEN)ヒロシマの2団体は、1月6日、湯崎知事あてに、「黒い雨」訴訟控訴取り下げの申入れ書を提出しました。昨年末、松井市長への申入れと同様に、昨年7月に下された広島地裁判決に沿って広島県は、原告全員に被爆者健康手帳を交付すること、そして国と一緒になって行っている控訴を、今すぐにでも取り下げるよう、求めました。
私たちは12月24日、広島市(市民活動推進課)と拡声器の音量および平和行政の在り方にかんして、話し合いを行いました。今後も引き続き、協議していくつもりです。
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話し合いたいこと(市民活動推進課に提出したレジュメ)
2020年12月24日
1)
前回(10月23日)の話し合いの再確認
私たちは8月6日の拡声器使用に際し、次のような努力を行いました。
①
環境局環境保全課に騒音計をかりて、3月中旬に平和公園周辺で拡声器の実証実験を行う。
②
3月24日、市民活動推進課との話し合いの場で「10m先/85㏈以内に収まるよう努力する」として合意。
③
8月5日、先の実験にもとづいて、翌日のデモで使用する拡声器ごとに音量つまみを固定し、マイクを持つ人に関しては、発声の際の声量調整および、口とマイクの距離の調整方法など講習を実施。
④
8月6日当日朝、デモ前に原爆ドーム前で騒音計を用いて測定し、デモ中も測定。
しかし、当日市が委託した業者による測定結果によると、85㏈を越える地点があったということでした。その結果については大変残念です。やってみてわかったのは、どんなに事前に調整してもその時々の風向きや、マイクを持つ人の声量によって、実際に10m先に達する音量に違いが出るということです。よって今回の結果は許容誤差の範囲と考えていますが、引き続き来年に向けて努力する所存です。
2) 前回の話し合いを踏まえて、市民活動推進課から今年の式典中の拡声器の音量に関する調査の情報提供をしていただき、私たちも内容を確認しました。それらの結果について、市は式典中の拡声器の音量(その規制の是非)について、今現在どのような見解をお持ちか、教えて下さい。
9月24日の中国新聞では、「デモ音量『影響ない』56%」「割合倍増 団体配慮か」との見出しの下、以下のように紹介しています。
●我々のハンドマイクから出る音の受け止めについて
「式典への影響はない」としたのは56.1%で昨年より28.7㌽増えた。「悪影響がある」としたのは43.9%で15.0㌽減。昨年は10.8%が「わからない」としたが、今年はゼロだった。
●音量への対応について
「関係者に対する要請や話し合いを続けるべきだ」が46.3%で3.6㌽上がった。「規制する措置を講ずるべきだ」は22.2%で10.5㌽減った。「何もする必要はない」は22.2%で10.6㌽増えた。
1回目(2018年12月実施)、2回目(2019年8月6日)のアンケートと比較しても、市民の条例規制を求める割合は69%→33%→22%と減少しています。今、市民の世論として式典中の条例制定を求める状況にないと言えるでしょう。
また、今年合意した「10m先/85㏈以内」が正当な数値かについても、大いに議論の余地があります。そもそもデモ隊と式典会場は最も接近したところで200~300m離れており、拡声器の音量を多少変更したからといって、届く音にどの程度の違いがあるのかはなはだ疑問です。
しかし、来年の平和式典まで半年以上あり、私たちが来年どういうふうにデモを実施するかについては、現段階では白紙です。引き続き市と協議し、両者の納得できる合意点を設定することに、鋭意努力いたします。そして合意点に到達した際は、その確実な実施について今年以上の努力をしたいと思っています。
3)
8月6日の平和式典のあり方は、平素からの松井市長の平和行政の在り方に規定されているという観点から、前回から引き続き3点質問します。
①
広島市が「黒い雨」訴訟に対し、控訴した理由を今一度説明してください。地裁判決の一体何が不服なのでしょうか? 厚労省からの「法定受託事務」であったとしても地方自治体の事務であり、基本的には自主的に処理できるのに、なぜ市は自主的に国の意向に従ったのでしょうか?
広島の高校生・酒見知花さん(盈進高2年)が、「本気なのか
『黒い雨』控訴に思う」という作文で、控訴した松井市長に率直かつ痛烈な批判を述べています。こうした若者の声に松井市長は真摯に向き合い、対応を改めるべきではないではないでしょうか。
②
核兵器禁止条約について
広島市として日本政府の署名・批准および、締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を引き続き強く求めてください。
③
広島市平和の推進に関する条例(仮称)について
松井市長は9月14日、拡声器規制条例の制定を求める「静かな8月6日を求める広島市民の会」という団体の申入れを受け取った際に、「拡声器の規制について、今後は、平和推進条例の方で対応してもらう」と答えましたが、一体どういうことなのでしょうか? 前回も申入れたことですが、松井市長はわれわれと直接会って話をしてください。
以上
私たちは、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう全国会議)ヒロシマの仲間と一緒に、12月24日広島市役所を訪問。松井市長(原爆被害対策部援護課)に対して、ただちに「黒い雨」訴訟の控訴を取り下げるよう、また国の設置した検討会の結果を待たず、被爆者援護法にもとづいて「黒い雨」被爆者の全員に速やかに被爆者健康手帳を交付するよう求めました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
広島市長 松井一實様
申し入れ書
2020年12月24日
被爆75周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
事務局長宮原亮
広島市中区幟町14-3-705
電話&FAX 082-221₋7631
1、申し入れの内容
「黒い雨」訴訟での控訴を取り下げ、84人に被爆者健康手帳を交付すること
私たちは8月25日に、「黒い雨」訴訟の控訴を取り下げるよう申し入れました。私たち以外にも各方面からの控訴取り下げの声が高まっているにもかかわらず、広島市は取り下げに応じておりません。11月18日に広島高裁で第一回控訴審が開かれ、裁判長は、来年2月17日の第二回目の公判で結審となる可能性もあると述べています。私たちは、11月7日に「原告による報告会」、12月13日には「黒い雨」に関する”科学的知見”について、「大瀧慈さん講演会」を開催しました。この中で、原告の方々の長年にわたる命をかけた国との闘いの苦労と、被ばくの実相を巡る最新の科学的知見について学びました。また、原告の訴えにまともに向き合わず、広島地裁の明確な判決にも従わず、「検討会」で時間稼ぎを行う日本政府への怒りが、より一層強くなっています。私たちは広島市に対し、国のでたらめな控訴にきっぱり異議を申し立て、直ちに控訴を取り下げ、原告84人に被爆者健康手帳を交付するよう、あらためて求めます。
2、理由
広島地裁の、原告全面勝利・画期的判決。これを覆すことは許されない。
●「黒い雨」の降雨域について 厚労省が「黒い雨」被爆地域の指定に使ってきた宇田降雨図を否定し、「降雨域は宇田雨域に止まるものではなく、より広範囲に降った事実を確実に認めることができる」と結論づけています。さらに、宇田降雨図より拡大した増田降雨図、大瀧降雨図を認めた上で、この降雨図に含まれない地域にも被爆者が存在することも考えるべきと述べていることは極めて重要です。
●「黒い雨」に放射能が含まれていたかについて、判決文は「黒い雨には放射性微粒子が含まれていたと認められる」と述べ、「外部被曝に加え内部被曝を想定できる。健康被害を生ずる可能性があることは十分首肯される」と述べていずれも認めました。
●原告の証言の評価について、判決文は、「原告らの供述は被告代理人の反対尋問を経てもその核心部分を信用できないとする事情は伺われず・・・陳述書の内容に不自然不合理な点はないことから、黒い雨に曝露したと認められる」と述べて、信用性があると結論づけています。
●現行制度の評価と改善について 判決文は、健康診断受診者証制度が44年間定着してきたことを踏まえて、その制度で認められた被爆者と同程度の「黒い雨」の曝露があれば、健康管理手当対象の疾病があるかどうかを判断すべきとして、法を改正しなくても被爆者健康手帳の交付が可能であることを示しています。
3、国の控訴と検討会の不当性
政府は、控訴の理由を「判決は十分な科学的知見に基づいているとは言えない」「長崎体験者制度の最高裁判決と違う」「最新技術で科学的に検討する」などと述べて、膨大な控訴理由書を提出しています。
しかし、判決では「これまで黒い雨地域が被爆地域に指定された際、放射線量などが問われたことはなく、被爆者の援護に関する認識を改めるべき根拠が生じたわけでもないのに、本訴訟においてのみことさらに重視するのは相当ではない」と退けています。今さら「最新技術で科学的に検討する」と言うのもおかしな事です。やれるのであれば、4 年間の第一審の中でやるべきだったのです。
また、国は「対象地域の拡大も視野に含めた」検討会を行うとして、11月16日に第一回目の会議が行われています。しかし、何も期待はできません。本当に「拡大を視野に」入れているのだとすれば、一旦84人に被爆者健康手帳を交付した上で検討会もやればいいのです。また、対象地域の拡大と言ってもこの線引きが新たな分断を生む可能性は大きいです。広島地裁判決は、増田・大瀧降雨図の外にも「黒い雨」の被害者がいると言っているのですから、政府がいう「対象地域の拡大」などは今更必要ないのです。むしろ中途半端な「拡大」は、新たな分断を生み出します。検討会は、広島市と広島県を控訴に引き入れる口実にしかすぎないペテンです。
以上