2020年7月15日水曜日

河井夫妻、安倍首相を式典に呼ぶべきではない! 市長と市議会に申し入れ

16日の新聞で報道していただきました。




 安倍首相ら自民党幹部が、河井夫妻を通じて行った大規模買収事件(公職選挙法違反)の捜査・裁判が進んでいます。

 そんな中、広島市はコロナを理由に一般市民の式典参加は認めず、一方で、安倍首相・河井夫妻に対しても、そして金銭を受けとった県会議員・市会議員にも、式典の招待状を送ったことが判明しています。7月15日、私たちは法律違反の議員を招待しないよう、広島市(松井市長)に申し入れました。


 代理で対応した職員とのやりとりで、広島市(松井市長)は、河井夫妻の疑惑の内容については重々承知の上で、「あえて例年通り招待した」ということでした。コロナを理由に「席数9割削減」「会場周辺の立ち入り規制」など、去年までの慣例に踏まえない、異例づくめの式典を行うことを判断した広島市(松井市長)が、「あえて例年通り、広島県選出の国会議員(河井夫妻)は招待する」と判断・決定したことを認めました。


 なぜ一般市民は式典会場に入ることさえ許されず、選挙違反の議員は招かれるのでしょうか? 法律違反を居直る議員を平和記念式典という公的行事に招き、それを誰も咎めない構図を全国・海外に発信して、かれらの「禊(みそぎ)」の場にし、安倍首相や河井夫妻らを免罪しようというのでしょうか!? 私たちはそのような松井市長を市民の代表として認めることはできません。 







広島市長 松井一實様

2020年7月15日
                     被爆75周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
事務局長 宮原亮
広島市中区幟町14−3−705
                      電話・FAX 082−221−7631
メール 86hiroshima.daikoudo@gmail.com
                         

申し入れ書

          
1)1億5000万円の買収資金を提供した安倍首相、応じた河井夫妻、河井から賄賂を受け取った全ての県会議員・市会議員への8・6平和記念式典への招待状を撤回すること。

2)正義がなければ平和はない。このことを肝に命じていただきたい!

3)広島自民党救済のための、安倍資金による旧陸軍被服支廠保存に応じるべきではない。


理由

1)1億5000万円の買収資金を提供した安倍首相、応じた河井夫妻、河井から賄賂を受け取った全ての県会議員・市会議員への8・6平和記念式典への招待状を撤回すること。

 広島市役所のホームページを見て驚いた。招待者一覧表に特別来賓として国会議員と県会議員、主催者として市会議員の名前が挙げられている。担当課に聞けば、安倍首相をはじめ、河井夫妻、広島市会議員など、河井選挙疑獄の渦中の人物にも招待状を出したと言うではないか! 一体松井市長は何を考えているのか。
 振り返ると、松井市長はパンデミックに便乗して「今年の平和式典は目的を慰霊に絞る」とし、大幅な縮小と目的変更を宣言した。そのやり方も独裁者そのもので、我々8・6ヒロシマ大行動実行委員会が「平和式典のあり方を市民に問うべきだ」と何度も誠意を持って要請しているのを、これまでのやり方で十分だと居直った上でのことだ。最近の記者会見では式典の目的を「平和と慰霊」に修正したようだが、世間を愚弄するような式典開催を勝手に決めていることに変わりはない。
 問いたい。一般市民を排除し選挙違反の議員を多数式典に参加させておいて、あなたのいう慰霊は果たせるのか? 無慈悲な死を強制された被爆者は、選挙違反を居直って辞職もしない輩が平和公園の土を踏むのを「慰みだ」と喜んでくれると、本気で思っているのか?
 はっきり言ってこれは平和式典に名を借りた「みそぎ」だ。平和式典という公式行事に、何事もなかったように選挙違反の議員が参加し、誰もそれを咎めない構図を全国に発信して、安倍や河井夫妻らをを免罪しようというものだ。


2)正義がなければ平和はない、このことを肝に命じて頂きたい!

 現在、ジョージ・フロイトさんを白人警官が殺害したことに対する全米のみならず、全世界で抗議の闘いが燃え上がっている。1964年に公民権法が成立しながらも、新自由主義の中でますますアメリカ社会で差別が強化され公然のものとなっていることを衝撃的に教えたのが、Covid19の被害の実態だった。黒人は人として見られていない。黒人を差別し踏みつけにして、アメリカ社会の繁栄が続いてきたということだ。それ故に、故キング牧師の有名な言葉が胸を衝く。

「真の平和とは、単に緊張がないだけではなく、そこに正義が存在することである。
True peace is not merely the absence of tension: it is the presence of justice.」

 平和を語っても正義がなければ、その平和なるものは虚構だ、という真理だ。同じことは、「核廃絶」についても言える。否、むしろこうした金銭汚職の議員を平然と松井独裁市政の基盤にし、平和式典に参列させて罪を問わないやり口こそ、松井市長の核廃絶が空疎なものであことと一体なのだ。空疎というのは安倍に恐れをなして平和宣言で「核兵器禁止条約署名と批准」を迫らないことだ。何が国際平和都市だ! 何が平和首長会議の代表だ! これでは、真実を知った世界中から軽蔑されてしまう。

 河井夫妻の金銭買収に応じるということは不正義そのものだ。民主主義の根幹を破壊するからだ。司法取引が行われたことも明白で、広島市の汚職議員13人は全て居直り、あるいはだんまりを通そうとしている。検察は広島の自民党体制が崩壊することを危惧していると報道されている。自民党を支持基盤とする松井市長も同様な考えなのか? 自らが汚職議員を断罪する気迫もないのか?
 それとも、汚職議員も平和式典に参加すれば慰霊の念から改心するとでも思っているのか? かつて松井市長の秘書室長は、「安倍首相はヒットラーと同じ人物だ、決して式典に招待してはならない」という我々の主張に次のように答えた。「ヒットラーだからこそ来てもらい、広島の被爆の実相を感じてもらえば、変わってもらえる(!)」。だが、現実は真逆だった。安倍首相は広島訪問をするたびに戦争屋としての本質を露わにしている。その点で重大なのは、河井案里の選挙公約だ。それは安倍と共に「日本を変える」というものだ。夫、河井克行の同志として日本を戦争できる独裁国家に変える。安倍の指揮下、非常事態条項導入と自衛隊明記の改憲に突入し、異議を挟まさない。そのためには同じ自民党の溝手であっても切り捨てる。それは、戦争に向けた全国民総動員体制構築に向けて、戦前の内務省支配下と同様に地方の住民から自治を奪わずにはおかない。河井から金を貰った市会と県会の議員たちはそういう河井夫妻の企みに、与する意思表示をしたということだ。口で「核は絶対悪」と言おうとも、核兵器使用の最大の国家間戦争に向け、着々と準備する安倍に抗議しない松井平和行政はペテンだ。そのことを平和式典への金権汚職選挙議員の招待は証明している。

 実際、松井市長が戦争と改憲に突入する安倍政権批判を圧殺しようと画策した「8・6拡声器規制条例」に賛成討論をした木戸市議は金を受け取っていた。拡声器規制条例を提唱した宮崎議員はその木戸議員を庇って、辞職を求めるのではなく「議員自らが説明する問題だ」と断罪すらしない。戦争で田舎町から大都市に飛躍した広島に色濃く残る軍都根性に便乗しているのが、あなた、松井市長だ。平和宣言を発する資格が問われている。


3)広島自民党救済のための、安倍資金による旧陸軍被服廠保存に応じるべきではない。

 最後に触れておきたい。広島・山口県出身の自民党国会議員らが、8月6日の平和式典に出席する安倍首相を旧陸軍被服支廠を視察させようとしている。侵略戦争と被爆の象徴である建物を見て、安倍首相が「二度と戦争をしてはならない」と決意するであろうか? 否である。安倍首相は「こんなに立派な軍事施設だったのか。今度は負けないようにしっかり軍備を整えよう」と軍都=廣島を肯定し、憲法改悪と日本の核武装へのキャンペーンをさらに強めるだろう。軍都=廣島に目をつむるとはその証だ。広島をアメリカの核攻撃から生じた被害の側面だけから注目するあり方を国策として一層推進しようとするだろう。結論は、敵基地攻撃能力の保持発言にも見られるように、日本の途切れない防衛の要としての日本独自の核武装の扇動となる。被爆者家族として、絶対に許すことはできない。

 私たちは、6月28日に被爆建物の保存運動を進めてきた石丸紀興先生を招いて、旧陸軍被服廠の見学と被爆建物について考える機会を持った。石丸先生は講演の最後を次の言葉で締めくくられた。
「世界からも平和と反核を求めて集まる人たちが自由に議論しあえる場として陸軍被服廠は保存されるべきだ」
「保存に際して補強のために30億円以上の金額が言われるが、震度7とか8の地震が来て、住民の家は崩壊しても、陸軍被服廠や原爆ドームさえ残れば良いという話ではないはずだ。もっと何のために残すかを議論することが大事。安易に政治利用を狙う安倍さんに便乗するのではなく、広島が方針を決め、それに政府が乗るかどうかを問うべきだ」
 はっきり言おう。安倍首相も松井市長も平和と反核のための自由な討論の場として被爆建物を残すのではなく、国民・市民に沈黙を強いて日本を再び戦争する国にするという彼らの野望を押し付ける場にしようとしているのは明白だ。安倍首相の視察で保存費用を国から引き出し、河井両国会議員の公選法違反、巨額の金のバラマキでボロボロになっている広島県の自民党の威信を取り戻そうという魂胆もミエミエだ。
 そうは行くはずもない。そもそも、河井案里に買収資金1億5000万円を支給した張本人こそ安倍首相であり、広島の怒りは生半可ではない。広島だけでなく、全国紙で「安倍のための河井金権選挙」について多くの怒りが投書欄などで表明されている。
 私たち8・6ヒロシマ大行動は、ヒロシマ、全国、何よりも被爆者家族とともにあらゆる反動をはねかえして行動し、全世界の労働者・民衆にヒロシマからのアピールを発する決意である。

                                    以上



 その後、山田春男・広島市議会議長に、同様の申し入れを行いました。とくに河井夫妻から金銭を渡されたとされる13人の市議には、式典出席を自粛するよう議長として促してほしい、と伝えました。






2020年7月12日日曜日

8・6ヒロシマ大行動へ! 実行委員会からの訴え①

「核廃絶の声をもっと大きく」

宮原亮  8・6ヒロシマ大行動実行委員会事務局長/被爆3世

 

 広島市は 2018年末、8月6日の平和記念式典周辺での拡声器使用をめぐって市民3000人を対象にアンケートを実施。それ以降、松井市長は拡声器規制条例の制定を策動し、8・6ヒロシマ大行動実行委員会は「表現の自由を奪うな」と条例制定反対を呼びかけていきました。 


 19年末には広島県原水禁や弁護士会なども反対の声を上げてくださり、条例制定を阻止。すると松井市長は今年4月に入ってコロナを理由に記念式典の目的から核廃絶を外して「慰霊に絞る」と言い始め、式典参加者を制限し、式典中の平和公園の立ち入り規制をしようとしています。 


 昨年市長は式典での平和宣言を「政争の具にしない」と言って核兵器禁止条約について触れないと公言していました(抗議の声で撤回)。松井市長は明らかに「8・6ヒロシマ」から「反戦平和」「核廃絶」という内容を消し去ることを狙っています。安倍の改憲攻撃と一体の攻撃です。 


 しかし、18年以来の広島市当局との攻防を通して、市長らの狙いとは完全に逆の結果が生じています。市は最初は「8・6ヒロシマ大行動」だけを狙い撃ちにして孤立させようとしましたが、被爆者団体はじめ多くの市民運動、労組、弁護士や大学人などがともに声を上げてくれました。この中で私たち自身も広島のさまざまな平和運動を担う人たちの考えに触れました。被爆者の証言を伝承する活動をされている方、原爆犠牲者供養塔のお世話をされている方、被爆建物の保存運動をされている方など――そうした人たち
の話を聞く機会を設け、問題意識に真摯に学んできました。 


 さらにNPT体制や核兵器禁止条約、広島の平和運動・被爆者運動の歴史について改めて学び直しました。そして運動の垣根を越えて広く共闘を呼びかけることに挑戦してきました。そのことで、私たちは広島の反核平和運動の責任勢力として、ある程度広く認められる存在になれたのではないかとの自負もあります。 


 被爆から75年が経ち、被爆者も高齢化しています。運動と被爆体験の継承が問題になっていますが、何を継承するのか。被爆者は戦後「戦争を引き起こした国家の責任追及」を軸にしてたたかってきました。松井市長は「慰霊の場だから黙れ」と言い、原水禁も原水協もコロナを理由に世界大会を中止しましたが、米トランプ政権の大核軍拡、安倍政権の改憲と核武装衝動に対してそれでいいのか? 「核廃絶の声をもっと大きく!」この精神こそが被爆者の体験と思いの継承の核心であると思います。 


 いま河井克行・案里の選挙汚職が大問題となり、広島市議も県議も多数買収されていることが次々暴露されています。こういう議員は招待され(河井克行・案里さえも招待されている!)、市民は排除される式典とは何か? 立ち入り規制の攻撃と当日までたたかい、跳ね返して6日朝の原爆ドーム前集会を断固やりぬきたいと考えています。感染対策もしっかりやります。全国からの可能な限りの結集と賛同をお願いします。

 (2020年7月7日記)

2020年7月10日金曜日

今年の平和記念式典 会場周辺の入場規制を発表


 松井市長は4月に、コロナを理由に「式典の目的を慰霊に絞る」「会場周辺の立ち入りを規制する」と発表したものの、その具体策を公表してきませんでした。7月9日、ようやく発表。
 なんと、例年より1時間30分はやい朝5時から会場周辺を立ち入り禁止とすると。一部(参拝者に限り)朝5時~7時まで一方通行での立ち入りを認めるというものです。
 一方、もっとも問題視された立ち入り規制の範囲はレストハウスの部分まで。平和公園敷地内全体を立ち入り禁止にすることはできなかったようです(私たちは例年通り朝7時15分から原爆ドーム前集会を行う予定です)。

 しかし、8時からの式典は、安倍首相は丁寧に招かれ、市民は参列できないものであることに変わりはありません! こうしたあり方には、引き続き抗議していきたいと思います。



(7月10日付中国新聞)

実行委員会ニュースNo.2できました。

6月28日の被服支廠見学・講演会をニュースにまとめました!




ニュースをダウンロード(PDFデータ)


2020年7月8日水曜日

【告知】7月19日、第五回実行委員会を開催します。

いよいよ8月6日まで残り1ヶ月を切りました。

第五回実行委員会は7月19日(日)15:45~17:45、東区民文化センター・スタジオ2で行います。参加希望の方は、86hiroshima.daikoudo@gmail.comまで連絡をお願いします。


※実行委員会の前に、NAZENヒロシマ主催「ヒロシマと原発」学習会が、13:30~15:30に同じ会場で開催されます。こちらにもご参加ください。

2020年7月7日火曜日

今年の8・6ビラ、更新しました。

 8月5日の行事予定などを追加して、8・6ヒロシマ大行動のビラを更新しました。ご活用ください。




ビラをダウンロード(PDFデータ)


2020年7月2日木曜日

6月28日 被服支廠の見学・講演会および実行委員会を開催

(6月29日 読売新聞)

広島をどういう街にするか?


 6月28日、旧陸軍被服支廠を元広島大学工学部教授・石丸紀興先生の案内で見学し、その後講演も行って頂きました。
 「広島はかつて軍都=廣島だった」という事実を強烈に思い知らされた一日でした。朝鮮半島略奪のための日清戦争の時には、広島城に臨時の大本営が置かれ、アジア侵略の本格化に伴って陸軍兵器支廠、陸軍糧秣支廠も合わせて建設され、被服支廠で作られた軍服や軍靴と一緒に、それらを繋ぐ宇品線で移送され、宇品港からアジア各地に送り出されたのです。戦後、軍の巨大な敷地は県や市に払い下げられた一方で、軍都としての史実は極力抹殺した街づくりが行われてきました。
 石丸先生は自己紹介の際、旧満州で生まれ引き上げてきたと言われました。1969年の広大闘争に助手として向き合い、飯島学長(当時)に意見を申したことで生き方を決めたと言われました。被爆者や市民に相談もなく、了解もないまま進められる復興に異議申し立てて来られたそうです。例えば、カトリック教会が世界記念聖堂の敷地内にホテルや結婚式場を作る計画には、聖堂のたたずむ景観が失われてしまうと信徒有志とともに反対運動を起こし、計画を変更させたりしました。
 市当局や権力者に疎まれても自由に考え、自由に物を言うことが、「戦争とどう向き合って生きるのかは、人生の底流にある」とする先生の覚悟のように見えました。


 石丸先生は講演を、次の二つの印象的な言葉で締めくくりました。
「世界からも平和と反核を求めて広島に集まる人たちが自由に議論し合える場として、陸軍被服廠は保存されるべきだ」
「保存に際しては補強のために30億円以上の金額が必要と言われるが、震度7とか8の地震が来て、住民の家は崩壊しても、陸軍被服支廠や原爆ドームさえ残れば良いという話ではないはずだ。もっと、何のために残すかを議論することが大事。安易に政治利用を狙う安倍さんに便乗するのではなく、広島が方針を決め、それに政府が乗るかどうかを問うべきだ」
 安倍が今年の8・6に来た際に被服支廠を見学しようとしていることに靡(なび)こうとする広島への強烈な批判です。「今年の平和式典を慰霊目的に絞る」とする松井市長のパンデミック便乗した沈黙強制へ激しい怒りを共有できました。
 石丸先生の話を聞きながら、モロッコから来ていた留学生から「ヒロシマは平和のメッカと聞くが、どこにメッカがある?」と聞かれ、答えに窮したことを思い出しました。まさに、峠三吉らが朝鮮戦争反対の中で体現した「怒りのヒロシマ」こそ平和のメッカであり、我々の8・6ヒロシマ大行動の反戦反核の中にそれは引き継がれているのだと確信する一日でした。

(8・6ヒロシマ大行動実行委員会・共同代表 中島健)







講演会の後、第四回実行委員会へ。
被爆75年の8月6日に向け、それぞれが熱弁をふるいました。