2024年6月30日日曜日

広島市に立ち入り規制の撤回などを申し入れ、市役所包囲デモ

平和記念式典の運営を担当する市民活動推進課への申し入れ(申入書は下に掲載)


申し入れ行動の後、市役所包囲デモ
 

申入書(pdfファイル)


2024年6月28日


広島市長 松井一實 様


8・6ヒロシマ大行動実行委員会

〒730-0036広島市中区袋町5-4-302

事務局長 宮原 亮

電話&FAX 082-245-8410

申し入れと公開質問状


1、5月7日に発表された8月6日の朝5時から9時までの原爆ドーム前を含む平和公園の立ち入り規制について


 5月7日に市が発表した文書には、今年の平和記念式典について「令和5年8月6日に原爆ドーム周辺で発生した衝突事故を受け、再発防止に向けて警備体制を見直し、規制範囲を平和記念公園全体に拡大するとともに、国内外から多くの要人等が出席する参列者席(メイン会場)内の警備を強化等する 」と書いている。

 また、6月26日付市民活動推進課からの「回答」によれば、「衝突事故を受け」「式典参列者の安全を最優先に考えて再発防止策を講ずる必要があることから、安全・安心かつ円滑に式典を挙行するために、入場規制範囲を平和記念公園全域に広げた」と回答している。

 日本ジャーナリスト会議のWEBサイトによれば、この平和公園立ち入り規制について、5月18日、「法的根拠はない」「市民に協力要請をしている」と広島市市民活動推進課の担当者が電話で回答したと記載されている。松井市長も6月5日の記者会見で同様の趣旨の発言をしている。にもかかわらず同文書において「平和記念公園(式典会場)においては、 午前5時から午前9時までの間、次の行為を禁止します。」として拡声器やプラカードなどの持ち込み、ゼッケンやヘルメットの着用を禁止行為として列挙している。しかも「禁止行為に該当すると認められる場合は、行為の中止を要請します。当該要請に従わない場合は、平和記念公園(式典会場)外への退去を命令することがあります。 」とまで記載されている。

 そこで以下質問する。


①「原爆ドーム周辺で発生した衝突事故」とは具体的には何を指しているのか? 誰と誰の衝突か? この「事故」に対して広島市はどのような見解を持っているのか。


②「衝突事故」と「規制範囲を平和公園全体に拡大」はどのような関係があるのか? 「式典参列者の安全」と「安全・安心かつ円滑に式典を挙行」と「規制範囲を平和公園全域に広げる」ことはどのような関係があるのか?


③「市民への協力要請」と言いながら「禁止します」「命令する」とはどういう意味か


④プラカードやビラの持ち込みを禁じ、ゼッケンの着用まで禁止するというのは完全に表現の自由を侵害する憲法に違反する行為である。「法的な根拠がない」だけではなく「違法な行為(憲法違反)」である。またそもそも法的根拠がないのに行政が住民に対して権力を行使すること自体違法であると思うが、その点について広島市の見解を明らかにされたい。


⑤「退去を命令することがある」と書かれているが、この命令の法的根拠は何か? また、命令に従わなかった場合、広島市としてはどのような対応を行うのか、明らかにされたい。


⑥6月24日市議会での市民局長は平和公園の立入規制について「広島県警察とも十分に連携しながら式典当日の警備にあたる」と答弁している。「県警との十分な連携」とは具体的にはどのようなことか明らかにされたい。


 今回の平和公園立ち入り規制は、岸田政権が進める中国侵略戦争に向けた戦争国家体制づくりの一環として8・6ヒロシマの反戦反核運動を国家権力の弾圧で圧殺することを目的とした攻撃である。

 ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下は日本のアジア侵略戦争から太平洋戦争に至る帝国主義戦争の結果として引き起こされた。慰霊碑に刻まれた「安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから」という碑文はこのような戦争を絶対に繰り返させないという誓いである。8月6日は原爆で亡くなった被爆者を悼むと同時に、2度とこのような戦争を引き起こさないことを誓い、決意する日である。

 岸田政権によって大軍拡と中国侵略戦争=核戦争への準備が進められている。この戦争を絶対に阻止しなければならない。そのたたかいの一環として国家権力・行政当局による8月6日の反戦反核集会・デモへのあらゆる弾圧を許さないし必ず打ち破る。改めて、5月7日付の「平和公園立ち入り規制」の撤回を求める。


2、イスラエルの記念式典招待について


 6月26日付市民活動推進課からの「回答」は、私たちの「イスラエル招待はヒロシマの名でイスラエルの虐殺を容認するメッセージを世界に発することである」という意見にも、多くの市民が「ロシアは招待しないのに、イスラエルは招待するということは二重基準ではないか」という疑問、批判にも全く答えていない。

 「二重基準ではないか」という市民の疑問・批判は「広島市の言っている『核兵器のない平和な世界の実現』というのは嘘ではないか」という疑問・批判である。

 私たちは広島市のイスラエル招待は二重基準だとは思わない。イタリアで開かれたG7サミットでは、ロシアや中国に対しては激しい非難が行われ、制裁について具体的に議論されたが、イスラエルに対してはラファへの全面的な攻撃を「控える」ように述べるだけだった。G7広島サミットでも広島ビジョンでG7の核は「防衛のためであり有用」と宣言したが、このことによって彼らの言う「核兵器のない世界」と言うスローガンが嘘であることがはっきりした。これと同じように、「被爆者の平和のメッセージに触れていただくことが核兵器のない平和な世界の実現につながる」ので「全ての各国代表に招待状を送付している」という市の主張は、嘘であるということがロシアを招待しないと決め、イスラエルを招待すると決めたことではっきりしたのである。実際には、ロシアや中国、ハマスを「世界秩序の破壊者」と決めつけて戦争を正当化する今の米バイデン政権、イスラエル・ネタニヤフ政権、そして日本の岸田政権などと同じ立場に広島市は立っていることを自己暴露している。

 したがって、改めて、今年の平和記念式典のイスラエル招待は、ヒロシマの名でイスラエルの虐殺を容認する政治的メッセージを世界に発することであり、人間としての解放を求めるパレスチナの人々に対する犯罪行為であると同時に、戦争と核に反対するヒロシマの思いを踏みにじる行為であるので、平和記念式典へのイスラエルの招待をやめるよう要求する。


3、岸田首相の式典出席について

 

 この件について、市民活動推進課からの「回答」では「政府の代表である内閣総理大臣に原爆死没者の慰霊と平和のメッセージを発信してもらうことは大変意義のあること」と述べている。

 私たちの「岸田首相は、中国侵略戦争に向かって戦争のできる国家体制を作るために突進しているので、岸田首相を平和記念式典に出席させるべきではない」という主張には何も回答していない。

 岸田首相のもとで、日本が再び中国・アジアへの侵略戦争に突き進もうとしている中でそのことを不問にし、被爆地ヒロシマの原爆の日に「平和のメッセージ」を発信する「意義」はヒロシマの名の下に今やろうとしている侵略戦争を正当化し、ヒロシマを利用して国民を戦争に動員することに他ならない。

 戦争をまさにやろうとしていることを肯定する立場からすれば、「大変意義のある」ものだろう。だが、ヒロシマ・ナガサキを絶対に繰り返させないために今目の前で進行する戦争に反対する立場からすれば絶対に容認できないことである。

 市は、岸田政権のもとで行われている戦争国家化攻撃に対して賛成なのか、反対なのか? 明らかにされたい。

 改めて、岸田首相の式典出席をやめるよう求める。


4、松井市長の「教育勅語」使用について


 松井市長は日本のアジア侵略戦争、太平洋戦争で国民を戦争に動員する精神的支柱となった「教育勅語」を広島市の職員研修で使用し、美化する内容の発言を行ってきた。その事実が暴露された後も、居直って使い続けている。

 松井市長が「教育勅語」を今後も使い続け、美化し続けながら、平和記念式典でどのような平和宣言を読み上げようと、それは嘘であるか、実際には再び日本が侵略戦争をやることを肯定するための「平和宣言」にしかなりえない。

 実際にも車体に教育勅語全文を書き込んだ黒塗りの街宣車で右翼が広島市役所前に現れ「松井市長の応援にきた」と主張しているし、松井市長自身右翼団体の幹部と会合し、激励を受けている場面がSNSに投稿されている。

 松井市長は職員研修で「教育勅語」使用をやめよ。「教育勅語」を美化する松井市長に平和記念式典を執り行う資格も平和宣言を発する資格もない。



以上の私たちの申し入れに対して7月8日までに文書にて何らかの回答をするように求める。


なお、6月13日に私たちは松井市長宛に申し入れを行ったのであり、それを何の断りもなく市民活動推進課の名前で回答するということはどういうことであるか説明を求める。

以上