2020年7月19日日曜日

「平和記念式典のあり方を問う」討論会を開催!



 「平和記念式典のあり方を問う公開討論会」を7月18日、広島市東区民文化センターで開催いたしました。好評だった過去2回の公開討論会に引き続き、今回もパネラーの方々からの重要な提起、活発な会場からの意見提起やそれを受けた議論など、大いに盛り上がりました!
 
 被爆75周年を迎えて、コロナに便乗して式典の変更が行われようとしています。しかし、いまだに核兵器が廃絶されていないばかりか、核大国同士の対立が深まり、安倍政権も改憲を追求し続け敵基地攻撃能力を持つことまで検討し始めている……――こうしたコロナ危機の下でヒロシマは何を発信するのかが問われています。

 この間、8・6ヒロシマ大行動を狙い撃ちにした一昨年来の拡声器規制条例制定に対して、様々な平和運動団体・被爆者団体から「言論の自由をおびやかされる」と反対の声があがっています。松井広島市長は、今年の条例制定は断念しましたが、今度は「式典の性格変更」まで言い始めています。しかも、式典への一般参加ができない一方で、安倍首相や買収事件の河井夫妻まで招待するという…… こうした状況で開催した公開討論会は、被爆75周年をむかえて、「8・6ヒロシマはどうあるべきか」を改めてとらえ返す場となりました。

 冒頭、主催者の8・6ヒロシマ大行動実行委員会を代表して広島大の学生から、経過説明と公開討論会の趣旨説明を行いました。原水禁世界大会もオンライン開催となり、集会の大規模な規制・自粛が行われようとしている今年の8・6は、 1950年の朝鮮戦争時にあらゆる集会が禁止されて以来の歴史的事態です。記念式典のあり方を市長が一方的に決めるのではなく、広く市民の意見を開かれた形で議論していくべきと公開討論会を開催した趣旨を説明しました。
 松井市長が4月9日に平和記念式典の規模縮小と性格変更について発表して以来、8・6ヒロシマ大行動実行委員会は広島市へ申し入れ・市議会への請願を重ねてきました。6月28日には、旧陸軍被服支廠の見学と講演をうけ、「平和と反核を求めて集まり自由に議論し合える場に」 という重要な視点を持つこともできています。こうした取り組みによって、式典会場周辺の入場規制にも変化が現れています!

 3人のパネラーの提起は、いずれも「8・6ヒロシマはどうあるべきか」をさらに掘り下げる重要な視点を提起するものでした。
吉田修さん(広島大学教員)は「アジアからみたヒロシマ」と題して、戦争被害としての被爆を「ヒトとしてクニを訴える」ことで平和を訴えることに普遍的な意義を与えてきたことを明らかにされました。NPT(核兵器拡散防止条約)やCTBT(包括的核実験禁止条約)といったクニによる核軍縮ではなく、核兵器禁止条約でできたアジアの人々とのつながりによる核廃絶への訴えこそヒロシマが果たすべき普遍的課題だと提起されました。
 渡子健さん(NAZENヒロシマ)は、「平和記念式典と反核運動の関係について」と題して、8月6日を「すべての戦争と核を無くす決意と、その具体的行動提起」をするための誓いの日とすることが世界から求められていると提起。「国の戦争による被害は等しく受忍せよという国に対して原爆被害者が国家補償を求め立ち上がった広島は、原発被害者の苦悩や決起に連帯や支持を示すべき」と、原発推進の国策を批判しない松井市長のあり方に怒りを表明されました。
山田延廣さん(弁護士)は「改憲問題と平和記念式典」と題して、コロナ流行に乗じて式典を縮小する一方で、改憲発言・緊急事態条項の創設を繰り返す安倍首相は呼んで発言させる松井市長のあり方を痛烈に批判。高齢化を理由に被爆者の発言を加えない式典は、平和を実現することを子どもたちに伝えることを切り捨てることになる、真の慰霊とは「二度と戦争しない、二度と核兵器の使用を認めない」と決意し行動することにある――こう強調されました。


 パネラーの提起を受けて、積極的な討論が行われました。河井夫妻はじめ選挙違反事件の関係者を呼ぶことに対して、「ありえない」と広島は怒りに満ちています。記念式典のあり方そのもの、さらにはヒロシマから何を発信していくのかというところまで問題を掘り下げる公開討論会となり、大変意義深い場となりました。
 8・6ヒロシマ大行動が声を上げたことで、新たな結びつきができ、ヒロシマの運動をもっと大きくしていく展望が開ていると実感できる公開討論会だったと思います。

実行委員会 I