この日は、そもそも広島市から私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会に「要請」 を行いたいということで、設定されたものでした。 多くのマスコミが取材に訪れ、 この問題の注目の高さを実感しました。 広島市からは市民局市民活動推進課から課長以下3名が出席し、私たちは呼びかけ人共同代表を先頭に15名が参加しました。
まず 広島市が私たちに「要請」を行い、その後 私たちが広島市に「申入書」を提出して、約1時間にわたって広島市の「要請」 を巡って私たちから質問や意見をぶつけました。
広島市の「要請」の中身は、「 静ひつな環境の下で式典が挙行されるよう」と言って、「毎年8月6日、平和記念式典最中の午前8時から9時の間は」、「① 拡声器の使用を控える、②音量を下げる、③ デモ行進のルートを変える」の3つからいずれかを選択せよというものでした。
「なぜ回答期限が11月18日なのか?」という私たちの質問に対して、市の担当者は「 12月中に一定の結論を出すため」と回答! 私たちが話し合いによる解決を求めてきたにもかかわらず、一方的にスケジュールを区切ってきました。また、私たちの「シンポジウムのような広く市民や専門家を集めた討論の場を設定するこ と」や、「8・ 6ヒロシマ大行動実行委員会以外の団体への説明を求める」という要求については、全く応じる姿勢がなく、" 従わなければ条例制定だ" という脅しの姿勢を隠しもしない、極めて硬直的かつ高圧的な「 要請」でした。
私たちからは、「①8・ 6ヒロシマ大行動実行委員会とだけ話して決められる問題ではない こと、② 一方的に期限を区切って条例制定を進めることは許されないこと、 ③市民向けの討論会を主催し、憲法に保障された表現の自由を踏み破ってでも条例規制する論拠を明ら かにすべきであること」を申し入れました。
今年の記念式典で広島市が行ったアンケート( 3000人に配布して1000人が回答)の結果では3割の人が「 条例での規制」を求めましたが、それを上回る4割の人が「 話し合いや要請での解決」を求めました。ところがこの日、 広島市はこの2つを足して「7割の人が現状の改善を求めている」 というご都合主義の解釈を展開しました。
さらに昨年末に広島市が行ったアンケート( 市民3000人に郵送で実施)では回答者の69%が「 条例規制が必要」と回答したのに、今回は33%に減少していることについての見解を求めると、「前回の郵送のアンケートはじっくり考える時間があるが、今回の式典会場でのアンケー トはその場で回答するものだった」「 前回アンケートは会場のどこにいるかわからない」だから「 比較できない」(?)という珍説を大真面目に展開し、 拡声器問題の議論が拡がるとともに条例規制に対する賛意が減 っているという事実をかき消そうと必死でした。
また、私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会にしか今日のような「要請」「話し合い」を行っていないのはなぜなのかと いう質問に対しては、「他の団体はデモの予告がなかった」 としか言えず、条例ですべての人を規制の対象にしようとしているにもかかわらず、不平等な対応がなぜ許されるのか、まともに回答できませんでした。
重要なことは、 憲法に保障された表現の自由を侵害する行為であるという私た ちの指摘に対して広島市の担当者が繰り返し「 音量を問題にしているだけで表現の内容を規制するものではない」 ということを述べていたことです。しかし、当然ながら表現とは表現の手段と一体のものです。 行政権力が表現の手段を規制することは表現の自由を侵害する行為 に他なりません。
わたしたちのデモで言えば、「 核兵器禁止条約に反対し改憲と戦争を狙う安倍首相の式典出席に抗 議し、首相に届く音量で首相の発言の際に抗議の行動を行う」 という「表現」なのであり、その「手段(拡声器を使うかどうか) 」や「音量」を規制するだけならば「 表現の自由の規制に当たらない」ということにはなりません。 広島市は少なくとも憲法で保障された表現の自由を侵害してでも規 制を行う必要があることについて説明し、 市民の意見を聞くべきです。
11月18日という期限を切って、しかも文書で回答を要請し、 それ以外の話し合いを拒否する態度に対し、 私たちは再度の話し合いを求めてましたが、最後は結局「 会議室の使用時間」を理由に逃亡しました。
今回の申し入れ行動ではっきりしたことは、広島市当局の、何がなんで も条例規制をしようとする強硬な態度です。 被爆地広島からこのような言論統制が行われることを許すわけには いきません。 いまこそあらゆる方面から抗議の声を集中して条例制定を阻止しま しょう。有志の呼びかけで始まった条例制定に反対する署名を全力で集めま しょう。
(8・6ヒロシマ大行動実行委員会事務局長 宮原亮)
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29日の新聞で報道されました。
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(10月29日付中国新聞)
(10月29日付毎日新聞)