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過去の大行動の記録

2022年12月8日木曜日

【講演録】11・20  異議あり!G7広島サミット 森川弁護士の講演録(全文)

 

11月20日に開催した「異議あり!G7広島サミット ヒロシマで戦争会議をするな! 講演会」で講演された森川文人弁護士の講演録全文がご本人のFacebookに掲載されていましたので、ご本人の了解の上、全文を掲載させていただきます。


2023G7広島サミットを許すな!
何故、労働者階級が反戦を闘うのか
     2022.11.20

ー核戦争情勢と世界不況ー

 2月24日のウクライナへのロシアの軍事侵攻から8ヶ月以上経過しました。ウクライナでは今も終わりの見えない戦争が継続しています。さらに核戦争へ発展の危険性まで到来しています。

 軍事同盟であるNATOは北欧(SwedenFinland)にまで拡大し、岸田首相はNATOの会議に参加しました。

 この世界戦争危機の背景には、資本主義の危機があります。コロナ禍で停滞した世界経済はさらに戦争で加速的に危機に陥り、覇権主義国家は戦争での突破しか見出せなくなっています。

 戦争が始まってから世界の軍需産業の株価は急上昇し、危機にある資本主義は戦争で延命をしようと躍起になっています。しかし、戦争により世界経済はブロック化し、分断・収縮し、その影響は世界中の庶民、労働者民衆の階級の生活にこそ響いています。

イギリスではボンド急落、米国歴史的インフレ・生活必需品高騰、中国の不動産危機長期化など世界大不況に陥り、成長率の下方修正を余儀なくされているとのこと。

 この不況に苦しむ世界各国の人々は、デモやストライキを起こし、イギリスや、スリランカでは政権を辞任に追い込み、コロンビアでは、元ゲリラの大統領登場。

また、法的に結成困難なアメリカでもアップル、スタバ、アマゾンで労働組合が結成されています。もっとも反動も呼び起こし、フランス、イタリアなどでは極右勢力も拡大しつつあります。激しい二極化の対立が現れています。

 資本主義は、もはや自ら戦争を止める意思も能力もありません。どの国も組織も停戦など呼びかけない。むしろ、核戦争を現実的な視野に入れた挑発により互いを追い込んでいます。

 NATOを仕切るアメリカ政府は、安全保障政策において、中国を「国際秩序を変える意思と能力を備えた唯一の競争相手」と名指しした上で、この10年で「中国を打ち負かし、ロシアを押さえつける」と、その暴力的な覇権国家・帝国主義としての姿勢を剥き出しにしています。

日本でも20年以上にわたり実質賃金の低下傾向の中、エネルギーや食品など物価は上昇し、40年ぶりのインフレ、50年ぶりの円安に見舞われ、私たちの生活に打撃を与えています。

 7月の参院選で改憲派2/3超を固めながら、安倍元首相の殺害により統一教会問題が暴露され、危機に追い込まれた岸田内閣は「防衛力の5年以内の抜本的強化」を打ち出し軍事費2倍(防衛費12兆円)・GDP2%路線に強引に進もうとしています。それと合わせて憲法改正の「発議」を首相演説で表明し、「戦争国家化」への国家総動員体制への誘導で自らの危機を突破しようとしています。


ーサミットの本質広島で開催することの狙いー

 この情勢下、来年5月、広島でG7サミットが開催されるということが決定されています。

かつて資本主義の本質的な危機が1971年、アメリカの金とドルの交換停止宣言により訪れました。世界は、「ブレトンウッズ体制」((金ドル本位体制)から変動相場制へ移行を余儀なくされ、資本主義はさらに不安定化し、弱肉強食の新自由主義により刹那的な延命を図るようになりました。

 その時、始まったのがサミットです。最初は1973年、アメリカ、西ドイツ、フランス、イギリス四カ国の蔵相会議であり、それが徐々に増え、1998年からはロシアも加わり、G8サミットとなりました。アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、日本、フランス、さらにロシア。先進国首脳会議から主要国首脳会議と呼ばれていました。

2014年、ロシアのクリミア侵攻により、ロシアは、参加資格停止とされ、G8は、G7に戻っています。

このサミットこそ、世界の新自由主義を支える体制そのものです。

 広島で来年、G7サミットが開催されるのは、「平和のコミットメントを示す場所と最もふさわし」く「武力侵略や核戦争による脅し、国際秩序の転覆の試みを断固として拒否するG7の意思を歴史に残る重みでもって示すことが重要」(松野官房長官5/23)。と政府は言っています。

 このコメントとアメリカの「安全保障」戦略からしても、来年の広島サミットの狙いは明らかです。

 「アメリカ・NATO加盟国連合ブロック」と「ロシア・中国ブロック」との軍事的対決を明確に意識しその一方のブロックの結束を固める軍事同盟の「寄り合い」にすぎません。戦争に向けての会議です。

 アメリカ、フランス、イギリスなど核兵器を大量に保有し核戦争を準備しながら、敵対勢力の核の威嚇と武力行使については「ウチの者に何をする!」と非難するヤクザの「仁義なき戦い」のような地平の「契りの場」を、あえて、この人類の犯した最大の罪である核兵器使用の場である広島で開催し「平和のための核使用を正当化」しようとしているということです。

私たちは、この21世紀型帝国主義の体現であるサミットの広島開催を許すことはできません。


ー日本の軍事国家化の現状ー

 統一教会問題、さらに相次ぐ内閣での不祥事等でぐらぐらな岸田政権は、5年間で総額40兆円という軍拡路線を打ち出していますが、それはアンケートなどによると一定の支持を得ているようにも見えます。何故このような状況が生まれているのでしょうか。

殺された安倍元首相は、第一次政権下、教育基本法改悪(06)、憲法改正国民投票法(07)秘密保護法、集団的自衛権行使容認 閣議決定、武器輸出三原則改悪(14)、安保法(15)、共謀罪(テロ等準備罪)、辺野古基地建設強行(17)など、「愛国と軍事増強・改憲路線」を推進していました。

 そして、その安倍元首相が殺された時には、「暴力を許さない」とマスコミをあげて謳った、その直後の参院選でに「軍事費2倍」に向けての軍事暴力「骨太方針」が承認されていくというデタラメがまかり通ろうとしています。

 この状況は私たちが選んだのでしょうか?(そんなことはない!)

 選挙という議会制民主主義の本質的な限界が露呈していることに多くの人が気づき始めていると思います。


ー「情勢」についてー

 そもそも情勢とは、「客観的な情勢(現実)」と「報道と情報統制により形成される情勢(情報)」に分かれてしまっていて、必ずしも現実に即した世論が形成されるわけではないし、統制された情報により歪んだ世論も含めて情勢と考えざるを得ない場合も多いでしょう。今で言えばフェイクニュースに誘導された世論です。

 とりわけ、戦争の時代には、今すでに始まっているように他国の攻撃・軍事演習のみをクローズアップし、自国の戦争政策を省略する排外主義的な報道、すなわち戦時報道が始まります。見たいものしか見たくない、見たくない現実から目をそらしたい困難な時代の大衆心理を利用し、戦争に動員する情勢が意図的に形成されていきます。「人権侵害の専制国家、中国は軍事演習を繰り返す」というような情勢が形成されます。


ーウクライナ戦争の本質 「軍事支援」の狙いー

 そのような括弧付きの「情勢」下で、今や戦況としては一進一退で泥沼の様相を呈しているウクライナ戦争につき、米・仏・独のウクライナへの「軍事支援」は、アメリカだけでも総額2兆6200億円(10/15現在)を超え、米軍とウクライナ軍は「作戦共有」までされているとのこと。まさに、アメリカの戦争ですが、さらに50か国の長期軍事支援の決定まで(10/13)されています。

 「軍事支援」は、日本も安倍政権時代に改悪された「武器輸出三原則」に基づき防弾チョッキやドローンなどを支援していますが、それ自体、戦争を支援するものであり、同時に軍需産業を支援するものです。今般、さらに殺傷能力のある兵器にもまで輸出を拡大するとの策動も明らかにされています(11/17)。到底「反戦」とはいえないものです。その上で防衛費2倍化ということは、私たちの血税を今後、三菱やNECなどの軍需産業に注ぎ込んでいく、ということになります。

 各国の軍需産業支援の結果、ウクライナではロシアは劣勢となり30万人の「部分動員令」が出され、2週間で70万人がロシア国外へとの報道もあります。

拠点奪還に沸き立つウクライナ。軍事には軍事。しかし、「軍事暴力による勝利」は、私たちにとっての勝利なのでしょうか・・・。


ー「台湾有事」の本質としての中国侵略戦争ー  

 今日本にいる私たちにとって、最大の課題は目の前に迫る戦争、すなわち「中国侵略戦争」とどのように対峙するか、向き合うか、です。

 「中国侵略戦争」という言葉に国葬反対闘争の際にも、激烈な反応がありました。

 しかし、覇権国家の唯一のライバルとして、中国を位置付けるアメリカ資本・政府にとってこそ、「台湾有事」が必要という客観情勢を押さえておく必要があります。

 覇権国家の動向は、不均衡発展過程における「帝国主義的優位性の確保」ということに既定され、現在は、改めて新帝国主義的な覇権争いの状況にあると思います。

ー日本の軍事化の流れー

 8月、アメリカのペロシ下院議長が台湾・日本に訪れ、中国は日本の排他的経済水域にミサイルを落とす軍事訓練で応答という鍔迫り合いがなされていますが、安保法成立(20 15年)以来、沖縄・南西諸島の40の島にミサイル基地・電子戦部隊を配置し、軍事演習を繰り返し、米軍と一体になっての対中国侵略戦争を準備しています。

 北朝鮮や中国大陸沿岸部・・上海辺り・・・に届く1000キロ射程のスタンドオフミサイル1000発以上を2024年度に保有する方針(産経8/21)を打ち出した上、さらに飛距離1600km・・日本海から北京に届く距離・・のトマホークを購入する計画とのことで、これで「中国侵略戦争」の準備、と言わない方がおかしいでしょう。

 昨年から今年にかけての大規模な軍事演習は凄まじく、これは、もちろん軍事挑発そのものですが、先に指摘したとおり、日米の軍事演習の報道は相対的に少なくなっています。


環太平洋合同演習「リムパック」6/末~8/4

米韓軍事演習「ウルチ・フリーダムシールド」8/229/1

米インドネシア合同軍事演習「スーパー・ガルーダ・シールド」8/18/14

オーストラリア多国籍空軍合同演習「ピッチ・ブラック22」8/209/8

南西諸島日米共同軍事演習「オリエントシールド22」8/149/9


何故、労働者階級が反戦を闘うのかー 

 ウクライナ戦争開戦以来、始まる前にあった「あらゆる戦争に反対する」などという声は、ロシア・プーチンの侵略戦争反対、まずはロシアを非難せよ!という声にかき消され、対抗するウクライナ軍・ゼレンスキーを英雄的に讃える方向に急速に傾き、ウクライナへの「軍事支援」こそが正義であるかのようになってきています。

 そこには、「プーチンを許してはならない。ウクライナの人々の現実からすれば戦うしかない」という、人々の中に埋め込まれたナショナリズムを刺激する直情的な感覚がベースにあり、「ウクライナ軍に対しての「戦争反対」はロシア擁護だ!」等々のファナティックな反動的反応をも呼び起こしています。

 かつて、武器輸出禁止三原則改悪に際し「これでは死の商人の仲間入りだ」という非難の声があがっていましたが、ウクライナ軍への軍事支援反対のデモは起こらない。9条を守れ、だけど、中国の侵略に武装しなければならない・・・というあたりがその限界であり、なんだかんだいって政府を信頼し、国家に暴力行使の責任を負わせる発想、ということになると思います。

いわゆる体制内左派、つまりリベラルは、ナショナリズム=祖国防衛と決別できていないのです。


ー「祖国防衛」と国際連帯ー     

 しかし、そもそも領土とは誰のものでしょうか。「国家のものである」とはどういう意味か。それは、私たちのものなのか?そもそも、私たちのものとは?・・・ こう考えると、領土の争いとは、つまりは国家間の「なわばり争い」にすぎず、「みかじめ料」をとられるだけの私たちには関係ありません。「労働者に国境はない」という『共産党宣言』の言葉の重みが今こそ理解される時です。

 このように言い切れるのは我々しかいません。つまり、「民衆と労働者の階級」が主体的に戦争反対を闘う必要があり、そして実現する力があるということです。

今、そもそも対立はどこに生じているのでしょうか。「ロシア」と「ウクライナ・NATO・アメリカ」の間でしょうか。もちろん、そのような国家主義の対立の視点に私たちは誘導されています。「情勢」が作られています。

 しかし、その「国家対国家」とされている対立軸を、国家主義・資本主義の戦争に動員する「政府・資本対、私たち動員される側の民衆労働者」という対立軸の現実として見極め、それを暴露することが労働者階級の使命です。

                    国家・資本

   国家vs国家      →              vs

                                                   私たち民衆労働者


 私たちの日々の内戦、つまり資本主義の搾取構造下における日々の暮らしにおける階級闘争の現実を見えなくするために、「究極の搾取としての戦争動員」が利用されてきました。「がんばれニッポン」「お国のために」「国土防衛」のように。搾取の延長に戦争動員もあるのです。「反戦」の実現はプロレタリア階級の使命であり、革命のスローガンとなるのです。

 国家間の対立構造と決別し、階級闘争により搾取を後押しし戦争を推進する政府を打倒!が、民衆と労働者階級の反戦であり、国際連帯のラディカルなスローガンです。


ー資本主義にとって戦争は必然であるー

 資本の論理とは、無限の金儲けです。資本の目的は利潤追求であり、資本主義は社会を豊かにする目的の制度ではありません。儲かるモノが「商品」であり証券会社は「金融商品」を、製薬会社は「ワクチン」を、そして軍事産業は「武器=人殺しの道具」で利潤を得ています。

 それに対し、資本主義の下では、労働者は人生の時間を月単位/日単位/時間単位で労働力商品と売り渡すことで生きるしかない。賃金とはギリギリの生活を再生産するのにやっと足りるだけのものです。

 実際には労働により賃金以上の剰余価値が生み出され、それが搾取され資本の利潤となります。この剰余価値の搾取こそが資本主義の最大のペテンでありマルクスの怒りの暴露の中心にあります。

 さらに資本同士は競争し、それぞれ生産を拡大し続け、商品の過剰生産に至り、利潤は限界に達し、破綻します。

 資本主義は19世紀後半から20世紀の初頭にかけ、自由主義段階から帝国主義段階へ移行しましたが、今、また新自由主義の破綻により同じように21世期の帝国主義・覇権主義という最後的な段階に入っています。

 帝国主義段階においては、資本は、国土を飛び出し、市場・領土・勢力圏・資源をめぐる列強同士の争闘戦(分割・再分割)に必然的に至り、破滅的な戦争に突き進んでいくのです。


ー軍需産業資本による搾取構造ー

 冷戦終結後1990年から30年、世界の軍事費は40%も増加し続けている。2兆ドルを超えました。アメリカ(38.5%)と中国(14.1%)で全体の50%以上を占めています。

 さらに今回のウクライナ戦争のわずか2ヶ月でロッキード・マーチン、レイセオンなどの軍需産業は軒並み15%以上株価が上昇。

 アメリカの軍事支援、つまり軍需産業の売り上げは、330億ドル(5/10現在)で、ウクライナの軍事予算の5.5倍。資本主義は停戦など考えずに戦争を継続拡大させるのです。レーニンが指摘する通り、「ある戦争の真の社会的性格、階級的性格」は、「ナショナリズムに既定された国史、国の歴史」や外交史などではなく「交戦列強の支配諸階級の客観的状態の分析の内」に含まれているのです。(『帝国主義論』レーニン)つまりは、経済的な利害です。 

 帝国主義政策とは、自国の資本の発展する余地を資本が投下される空間の拡大に求める政策であり、そこから生ずる帝国主義諸国の無限の領土拡張の要求がその衝突、すなわち戦争を不可避なものとしているのです。


ー軍事予算の拡大は搾取であるー

 繰り返しますが、軍事予算は我々の消費税を中心とした税金から収奪し、それを軍需産業資本に注ぎこむ。かつ、兵隊は民衆労働者から動員する。つまり、戦争は賃労働から余剰価値を搾取する資本主義の構造の延長にあります。

  兵器は、それ自体何も生産せず戦争で消費されるか、使用されなくても軍拡競争で数年で陳腐化し、新製品の需要が生み出される「過剰生産なき商品」であり、使用すればしたで経済的進出を実現できる。そして、軍事支援は他国に借金を押し付けながら、軍需産業の収益をアップできるという、軍需産業にとっても、国家の財政にとってもメリットのある究極の資本主義最適産業ということです。

 剰余価値で搾取し、税金で搾取し、その上に兵士として動員するのです。

 つまり、私たちにとって、戦争を終わらせることと搾取を終わらせることは同じであり、ここに資本主義打倒の闘いを労働者階級が行う必然性があるのです。


ー暴露の重要性 「戦争による搾取」を暴露せよ!ー

 レーニンは、労働者の無権利状態といった経済的なものから、政府の非道や警察の圧制といった政治的なものまで、人々に正当な憤激を呼び起こすであろう一切の事柄を「暴露」することの重要性を強調しました。

 この「暴露」こそが、現状の世界において「支配者と被支配者が和解不可能な形で対立」しているこということ、したがって現状とは「根本的に異なる世界」が必要であることを、人々に伝え、思い知らせることができるからです。

 作られた情勢、ナショナリズムのベールに覆い隠されようとしている本当の現実、すなわち非和解的な階級対立の現実。この資本主義の下(した)にある「最もラディカルなものである現実」に働きかけて、それをより一層ラディカルなもの、根源的なものとするということ。革命とは、社会内に潜在していた諸矛盾を爆発的に露呈させる、つまりリアルなものを押しとどめている殻を破いて社会の本当の中身を溢れ出させるということです。あくまでも現実主義なのです。


ー戦争を終わらせるために資本主義を終わらせる 「革命」ー

 サミットの狙いは、まさに「安全保障」というごまかしで、今の覇権国家間の帝国主義的な戦争ブロックを強化し、一方ブロックの結束を固め、各国内の極限的な階級対立をナショナリズムで回収し、私たちからの搾取をごまかし、そしてさらには戦争に動員することにあります。これがラディカルな視点から見た現実です。核戦争への結束を広島で固めるという許し難いことです。

 「安全保障」や軍備拡大による「抑止」などウクライナ戦争により無意味であったことは明らかです。これこそ現実をごまかす資本主義のペテンです。


ー私たちの生きる世界新自由主義の破綻ー 

 私たちは、このラディカルな現実を暴露しなければなりません。この「戦争の時代を革命情勢の到来」として捉え直し、それを伝えなければなりません。

 私たちの日常は「平和」なんかではないこと、日々、貧困の拡大と階級的対立の現実にあること。

 インフレなのに実質賃金は下がり続け、株価は上がる。日本の大資本は、今年、過去最高益とのこと。それでも労働分配率は下げる、さらには軍事費予算の拡大のための法人税増税には反対で、消費税などで行え、という。ふざけるな!という話ですが、これこそ非和解的な階級対立の現実であり暴露すべきことです。

 格差が究極的に拡大し、一部の富める者の資産は異常に集中し続ける。気候危機も止まらない。

 私たちは、これまで一定の不満を持ちつつも、自分に相応しい給料をもらい、ふさわしい家で身の丈にあった生活を送っている、商品の値段は上がったり、下がったりだけど、国は社会保障してくれるし、私たちを守るために安全保障として敵国の攻撃に備えてくれている、と思わされてきました。

 しかし、本当の光景が見えてきました。もはや暮らすのはギリギリかいつ転落するかわからないレベルの生活を強いられ、将来が見通せないので子どもを持つことを40年に渡り諦めさせられ(つまり少子化)、相応の価値があると手に入れた家は、多額の負債付きであり、実際には買った自分が持っているというよりは条件付きに使わせてもらっているにすぎない。いざとなされば銀行は絶対に損をしないように備えている。社会保障が完備という幻想はすでに剥がれつつあり、年金は年と共に支給開始年齢が上昇し、出ても生活することはできない。それにも関わらず、軍需産業に注ぎ込む税金は増加し続け、「安全保障」と言う名の殺し合いに私たちを動員・誘導して、資本・国の覇権争いに駆り出される、これが私たちの目の前に現れ始めているラディカルな現実です。


ー革命的祖国敗北主義をー

 再度確認したいと思います、何故、民衆労働者の階級が反戦を闘うのか。それは戦争こそが、資本主義の私たちに対する最大の搾取だからです。労働による剰余価値の搾取だけでなく、税金や命まで投げ出すことを求める。祖国防衛の名の下に。それが戦争です。 

 だからこそ、そのごまかしに気がついた労働者階級は、徹底した反戦の発想としての「革命的祖国敗北主義」という考え方に必然的に行き着きます。

 単に憲法9条を守れ、とか、国際平和を希求する、という立場とは違う。国家と資本主義の存続を前提とした発想ではナショナリズムを利用した動員・誘導を克服することができず、「平和のための戦争」というウクライナ軍支持の転倒したものになってしまいます。ちなみに、自衛隊のキャッチフレーズは「平和を仕事にする」です。

 戦争政策の自国の政府を打倒する。もちろん、ブルジョア社会では「非常識」であり、「非国民」的であり、他国のスパイ(中国や北朝鮮の回し者!)とレッテルが張られます。今年の8・15集会では、あえて非国民になろう、万国の非国民、団結せよ!と呼びかけました。

 ゼレンスキーはウクライナへの軍事支援の呼びかけとして「私は、戦争において中立であるべきだとは思っておらず、それは誤った態度だと思っている。生と死の間に中立などあり得ない。あなたが戦争に対して中立であれば、それは大国が小国になることを意味する。」などと煽っています。

 戦争において中立はない、という点だけ認めましょう。そうです、「戦争反対か、戦争推進か。」ここに中立はありません。国家単位ではなく、動員される側の立ち位置で戦争反対の声を世界に広げましょう!

 サミットの本質、そのごまかしに抗して、増税・社会保障削減 暮らしよりも戦争!を暴露し、岸田政権を倒しましょう!社会の自主管理を私たちの手で実現しましょう。

 私たちは、現時点では少数派のように見えます。しかし、粘り強く戦争反対を訴えれば、多くの人々の共感が得られるはずです。この「戦争反対を表明する私たちの存在」こそを暴露しましょう。