私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会は、11月7日、NAZEN(全ての原発いますぐなくそう全国会議)ヒロシマの仲間と共に、広島地裁で「全面勝訴」の画期的判決を勝ち取った「黒い雨」訴訟原告団の方を招き、その報告会を開きました。当日は会場を埋める85人が参加。「黒い雨」被爆者のたたかいと地裁判決の意義について、また国・県・市の控訴の不当性について、参加者全員で確認し、きたる控訴審(11月18日に第一回口頭弁論)勝利に向け心を一つにする感動的な報告会となりました。
まず最初に、「黒い雨」訴訟原告の本毛稔(ほんけみのる)さん(80歳)が発言。本毛さんは、5歳の時自宅近くで黒い雨を浴びたこと、その後も黒い雨や埃、塵を含んだ沢の水を飲み、野菜を食べて育ったこと、さらに自宅前の川の対岸は援護対象区域だが自宅周辺は対象外とされてきたことなど報告。「川を挟んで違う雨が降るわけがない。こんな線引きは納得できない」「控訴を聞きショックだった」と憤りを語りました。
つづいて、県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会事務局長・牧野一見(まきのかずみ)さんが42年間の住民運動と5年間の裁判闘争の経過を報告し、地裁判決について解説。同判決は、国の援護対象とした区域外で黒い雨を浴びても健康被害があり得ることを認め、放射性物質を体内に取り込む内部被曝を考慮するよう求めたもので、「画期的」と評しました。そして国・県・市の控訴を、「高齢化した原告と被爆者への冷酷な仕打ち」と断罪。加藤厚労大臣の「判決は十分な科学的知見に基づいているとは言えない」のコメントは、「判決では『これまで黒い雨地域が被爆地域に指定された際、放射線量などが問われたことはなく、被爆者の援護に関する認識を改める根拠が生じたわけでもないのに、本訴訟においてのみことさら重視するのは相当ではない』ときっぱり退けている」と紹介し、「判決を確定させて実施することこそ全面解決への近道」「世論の応援を力に控訴審での勝訴を目指す」と決意を述べられました。
さらに「特別報告」と題し、9月17日に控訴取り下げの意見書を全会一致で決議し、国と県に送付した安芸太田町議会から報告。「原告84名のうち27名がわが町の在住。これまでのいきさつを考えると、自治体は主体的に動かなければならない」、と決断に至った過程を明らかにされ、会場から大きな拍手を受けました。
その後、司会から、大瀧慈さん・矢ヶ崎克馬さんら「黒い雨」訴訟に尽力された研究者と福島在住の医師から寄せられた連帯のメッセージを紹介。会場の参加者からは「この判決は国の原子力政策に、全体的に影響を及ぼす。そういう意味で“画期的”だったからこそ、国は控訴した。『黒い雨』訴訟で、ようやくヒロシマとフクシマの連携をつくるきっかけを作らせてもらった」「これは原告だけの問題ではなく、広島、人類の問題。原告の方が代表して闘ってくださったおかげで色んなことが明るみになり、社会は改めて目を向けることができた」などの発言が続き、熱気あふれる意見交換の場となりました。
この日は新聞・テレビなど8社が取材し、控訴審を目前に控え、原告団と支援の思いの両方をアピールする良い機会になりました。「黒い雨」被爆者の人生かけた内部被曝告発の闘いの勝利に向け、運動の垣根や地域の違いを越えて、皆が力を合わせていく時です。「黒い雨」訴訟への支援をよろしくお願いします。
8・6ヒロシマ大行動実行委員会 K
(11月8日付中国新聞)