3月2日、広島市の公立学校で使う平和教育教材から漫画「はだしのゲン」がカットされるというニュースを受けて、広島市教育委員会に対して撤回を求める申し入れを行いました。3・8国際婦人デー集会実行委員会の皆さんも自分たちの申入書を持って一緒に申し入れされました。
申し入れの前日、ビキニ事件で被曝した第五福竜丸についての記事もカットされることが報道され、ますます怒りを燃やして申し入れ。対応した市教委の方は文書にて回答することを約束されました。
以下8・6ヒロシマ大行動実行委員会の申し入れ
申し入れ
小学生向け平和教材からの「はだしのゲン」削除の撤回を求める。
報道では「児童の生活実態に合わない」とか「 誤解を与える恐れがある」、「漫画の一部を取り上げるだけでは、 被爆の実態に迫りにくい」とコメントしていると言われている。
はだしのゲン全体を読めば明らかであるが、 原爆投下によってどのような惨劇が起きたのか、 そして原爆と戦争によってどれだけの人がその後苦しい人生を送ら なければならなかったのかが作者の経験に踏まえて克明に描写され ている。
それだけではなく、日本がアジアに侵略戦争を行い、 日米戦争に突き進み、その結果として原爆投下があったこと。 戦時下において言論弾圧が吹き荒れ、戦争に反対する者は「 非国民」として徹底弾圧され排斥されていたこと。 戦時下で国民生活は困窮を極め、 日々の食事にさえ不自由する現状であったこと。 その一方で天皇をはじめ戦争を引き起こし、 戦争で利益を得たものたちが存在し、 戦後も権力の座に居座り続けていることを暴露している。
引用した場面で「被爆の実態が伝わりにくい」のであれば、 それは引用する部分に問題がある。 現場の教員が伝えるための時間が足りないというのなら、 伝えるための時間を増やすべきである。 平和教育の時間を削ってきたのは市教委自身ではないか。
今回の決定は岸田政権が敵基地攻撃能力の保有を含む安保3文書を 閣議決定し、 防衛費の倍増などの戦争予算を今国会で通過させようとしているこ とと一体である。 G7広島サミットを契機にウクライナ戦争への日本の参戦とアメリ カと共同で中国への侵略戦争に突き進もうとしていることと一体で ある。はだしのゲンで描かれた「新たな戦前」「戦時下」 の状況に今まさに突入しているからこそ、 市教委ははだしのゲンの削除を決定したのではないか。 G7サミットを前にしたこの決定は、 G7広島サミットがまさに広島の反戦反核の思いを叩きつぶし、 戦争に突き進むための会議であることを如実に示している。
新たな戦前・戦時下に突入している今だからこそ、 はだしのゲンはもっともっと読まれるべきであるし、 そのためのきっかけとなるように教材にも積極的に掲載すべきであ る。
以上