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過去の大行動の記録

2021年6月18日金曜日

条例と今年の8.6デモについて――記者会見を行いました

 私たちは6月17日、広島市平和推進基本条例の廃案を求めると同時に、今年の8.6デモの意義を明らかにするため、市政記者クラブで記者会見を行いました。


(6.18中国新聞)


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記者会見に寄せて

2021.6.17(木)  
8.6ヒロシマ大行動実行委員会事務局長 宮原亮


〇反戦反核運動つぶしの平和推進基本条例に強く抗議
 6月定例議会に提出されようとしている「広島市平和推進基本条例」(以下、「条例」)は、表現の自由、思想・良心の自由を制約する憲法違反の条例です。拡声器規制条例を作れなかった松井市長が、「(市当局と市議会が)歩調を整えて動いているというふうに考えていただいていい」(3月26日、記者会見にて)と述べているように、条例は、私たちが毎年行う8.6反戦反核デモを「厳粛な式典」の名で規制することを目的にしています。
 しかしそれは彼らにとって目的の入り口でしかありません。検討会議の中で「厳粛」派は、1945年8月6日を「世界平和樹立の礎として永久に忘れてはならない日」としました。これは“原爆に感謝しろ”という意味であり、「(原爆を落としたのは)アメリカと明記すべき」という被爆者の市議に対し、「恨み辛みを言うな」とさえ言いました。またある委員は「私は憲法9条の2項を削除したい(=自衛隊を明記したい)」とも言いました。彼らは、“原爆で平和になった世界を守る”として、被爆地から改憲(=自衛隊明記、自衛隊の敵基地攻撃能力の保有、核武装)を求めているのです。そのために、8.6ヒロシマから反戦反核の訴えを消し去ろうとしているのです。
 問題は保守勢力に限ったものではありません。あるリベラル派の市議は、私たちが市と協議していることを念頭に、「『厳粛な』を入れても『理解と協力』が入っているため、市民への強制にはあたらない」と言って、憲法違反の条例づくりに積極協力しました。許せないことです。
 私たちは平和推進基本条例の廃案を求めます。

〇菅政権の「改憲、新たな核戦争との対決」がより鮮明に
 被爆者の箕牧さん(被団協、理事長代行)は、「原爆投下に至った背景には戦時下の言論統制があった」(5月26日)、「先の大戦禍を生き抜いた私たちは、……お上から努力義務を言われることに強い違和感を感じる」(6月14日)と、繰り返し条例への危機感を述べておられます。18年末——市議会で8.6デモが取り沙汰されてからおよそ2年半、私たちも、直接的には松井市長・市議会との攻防でしたが、本質的には安倍・菅政権下での改憲=戦争国家化に向けたヒロシマつぶしの攻撃としてとらえ、全力で取り組んできました。
 改憲=戦争情勢は今年に入ってさらに加速しています。4月に行われた日米首脳会談は、中国を焦点にし、共同声明では台湾の安全が脅かされた場合に、集団的自衛権を行使することを事実上確認したに等しく、今後は共同の軍事作戦計画を作成する可能性も指摘されています。すでに米軍は第1列島線(沖縄~フィリピン)への中距離(核)ミサイルの配備を狙っており、沖縄がその最有力候補にさせられています。これに沿うように、近年沖縄本島・南西諸島で自衛隊基地が続々と新設・強化され、共同訓練も続発しています。日本の私たちにとって重大な問題は、自衛隊はすでに「敵基地攻撃能力」を保有しはじめており、菅政権にとって明文改憲がますます死活的なテーマになっていることです。そうした中、今国会で改憲国民投票法改悪案が、野党・立民の協力によってあっという間に成立しました。16日未明には、基地・原発周辺の住民を日常監視し、反対運動を弾圧する稀代の悪法=土地規制法も強行制定しました。
 条例はこうした動きと重なっており、国会と広島市議会はいわば二重写しです。

〇3年間の拡声器攻防がつくりだした「闘うヒロシマ」の団結こそ希望
 私たちは、核戦争準備、そのための日米同盟と自衛隊の強化、改憲攻撃に対し、ヒロシマから大きく「反戦反核」の声を上げる時が今であり、その可能性は広がっていると感じています。この3年間の攻防は、8.6とは何か、ヒロシマはどうあるべきかを、私たち自身、市民のみなさんとともにとらえ返し、決意を新たにしていく過程でもありました。被爆者団体・市民団体・弁護士会・若者グループ・労働組合など、多くの団体・個人から声が上がり、今日まで拡声器規制の条例化を止めてきました。
 中でも、想像を上回る数のパブリックコメントが寄せられ、平和推進条例(当時)の3月制定を阻止したことは、特筆すべきことでした。私たちは3年間の攻防を通じて、市民一人ひとりの「平和」「8.6」に対する熱い思いとつながることができました。そして、多くのみなさんも、松井市長・市議会の進める平和行政と市民とが著しく乖離・対立していることを知り、「平和」「8.6」の真の担い手は自分たちだという思いを強くしてくださったと思います。そのことは、これからのヒロシマ——世界にとっての希望だと考えます。

〇戦争=改憲の菅政権を許さない! 8.6デモの意義はますます高まっている
 一握りの連中の利権と権威のための東京五輪を強行する菅政権に、全国で怒りが沸騰しています。昨年来コロナ禍で大量の首切り・倒産が相次ぎ、自殺者も増加しています。医療現場は崩壊し、医療従事者に命の選別(トリアージ)が強制されるなど、「戦時下」というべき状況が続いています。そんな状況に拍車をかけるのが東京五輪です。これのどこが「平和の祭典」なのでしょうか!
 そもそも菅政権は河井マネー(1億5千万円)の責任さえとらず、放射能汚染水の海洋放棄をゴリ押しで決定し、「脱炭素」の名で原発を推進しています。「黒い雨」被爆者を切り捨て、核兵器禁止条約に調印・批准しないどころか、コロナ禍のどさくさに紛れて沖縄―全国に新基地建設、基地機能強化を進め、挙句には改憲=戦争国家化に突き進んでいます。この菅首相を、広島市は何のために平和式典に招待するのでしょうか!
 式典に参加する被爆者が、菅首相に抗議したいと思われてもまったく不思議ではありません。しかし条例はそれさえも許さないということです。私たちはそんな式典を許しません。「戦争・改憲阻止、核反対、菅首相を許さない」と訴える8.6デモの重要性は、ますます高まっていると考えます。
 
 広島には、占領軍のプレスコードで原爆批判は封殺され、原爆を「平和の閃光」といって讃えさせられた歴史があります。朝鮮戦争が始まった50年8月6日、広島市は市民に「祈りと反省」を命じ平和記念式典を中止、広島市警察は平和集会を「不穏な行動」「犯罪」と言って禁止しました。しかし逮捕投獄を覚悟した被爆青年たちが、「朝鮮戦争反対、原爆反対」と自ら立ちあがったことが、「核と戦争を許さないヒロシマ」の原点です。今必要なのは、被爆者の思いを引き継ぎヒロシマからしっかりと声を上げることです。
 私たちは被爆から76年の8月6日7時15分原爆ドーム前に、例年以上に多くの皆さんの参加を呼びかけます。

以上